さよならありがと2011

息子がようやく勢いよく話せるようになってきた。中耳炎の治療で、2年分くらいの耳アカを取り除いてから急激に。新しい音、新しい声、新しい空気に触れたその身体から、溢れるように言葉が動き出した。聞こえる事は同時に話せることに繋がり、話せることは同時に行動できること=抱っこから降りて自分の脚で歩けることに繋がってきた。繋がるってすごい。通じるってすごい。詰まりに詰まった耳よ、さようなら。そしてありがとう。2011年の最後は、そんな喜びと興奮の中で過ごしている。

揺れた春。耐えて待った夏と秋。そして、取り戻し始めた冬。
この1年は生涯きっと、忘れられない年になるだろう。

その中で出会ったたくさんの言葉やイメージ、たくさんの人々の優しさを抱きしめて、日々をもう一度照らし直してゆきたいと思う。

いつもここに来てくださったみなさまに、胸いっぱいのありがとうを。
2012年も、ますます色とりどりの1年となりますように。
写真が、言葉が、踊り出しますように。

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涙ほろほろクリスマス

みしんの子さんから今年最後のプレゼントに、「苔台座付きキノコ」と「しいたけネックレス」を頂いた。ふたつとも今にもお話を始めそうな、そんなあたたかい作品。ほんとは25日のクリスマスをみんなでお祝いしようと計画していたのに、息子再び高熱を出しキャンセル。がっくり、撃沈。それでもどうしても会いたくて、息子が寝た隙に夫に託して2時間だけ家まで押しかけた。扉を開けば、チキンの焼けるいい匂い。旦那さんはカプチーノを1杯入れてくれて、すっかりクリスマスのフレーバーに染み入った。もう1つの仲良しご近所一家さんも一緒になって、そこの旦那さんのお洒落面白トークに笑い転げて、そのまま一人寒空の下をあたたかい気持ちで帰った。

我が家のディナーはスーパーのお惣菜になってしまったけれど、いいのいいの。プレゼントはたった一冊『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン作/絵)だけだけど、いいのいいの。熱出てても、今年はみんなで居れる。わたしも息子の看病ができる。それだけで、いいのいいの。帰って開けたみしんの子さんの手紙から、それをそっと気づかせてもらった。ほろりほろりと涙が落ちたのだった。

みんなの優しさに囲まれて、元気になってきた。
この家と、この街と、たくさんの優しい人々と、出会えてよかった。

今日も朝から中之島を渡って、病院2つの3時間抱っこ。いいのいいの。
しんどくなったら降りてもらうよ。と言っているから、いいのいいの。

みしんの子(ますますあったかい作品が増殖中)

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2011年の撮影おさめ

昨朝は息子の耳の回復を確認し、一路西へ。新幹線の福山駅からさらに車で1時間半。あれよあれよと言う間に、ド山奥。携帯圏外。広島県も日本海にほど近い巨大なデニム工場への取材だった。カメラはCONTAX RTS。35mmフィルムの軽やかさと深さに集中した約8時間。もちろん休憩いっぱい、移動いっぱい(運転もおまかせ)で。普通にクタクタだけれども、ちょっと前までのわたしよりかは格段に気力体力免疫力ともにアップしていることを実感。しかし、焦ってはならぬ。張り切ってはならぬ。と唱えながら、布団に入り5秒で寝た。

そして今日は撮影仕事おさめの日。神戸でインタビューポートレイト3件。カメラはNikonのデジタル。デジタルだって調子良し。毎度ながら、インタビューを聞きながら感動して涙が出そうになる。それをこらえるのが、またしんどい。前のめりで聞きいってしまうの、何とかしたい。

撮影と撮影のたまたま頂いた4時間のインターバル。浮足立ちながら、西宮ガーデンズで映画を観ることにした。その時間観れるのは『ミッションインポッシブル』と『源氏物語』。迷ったが、生田斗真くんを選んだ。中高のヤングな女子達に囲まれながら久しぶりに映像を楽しんだ。いや、よかったよ源氏物語。田中麗奈さん演じる六条御息所の生き霊姿と窪塚洋介さん演じる安部晴明が気持ち悪くてナイスだったなぁ。観終わって30分後には現場に戻ってまたインタビュー聞きながらホロっとして。いい2011年の撮影おさめだった。

身体、戻ってきた感じがする。

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こもりっきりの四日間

これは2時間抱っこから奇跡的に解放された瞬間。

クリスマス会には、案の定固まって『キラキラ星』も歌えなかったものの、ごきげんに母子で参加できた。ところが帰宅するなり「みみ、いたい!」と言い出し、昼ご飯も食べずすぐに昼寝。嫌な予感は的中し、30分もしないうちに大泣きで起き、発熱39度。家では普段めったに泣かない(一週間に一回あるかないかの)息子が、この世の終わりのごとき形相で泣き苦しんでいた。すぐに夫を呼び、ともに急病診療所へ。結果、はじめての中耳炎だった。二年分くらいの耳アカ取りだけでも凄まじく泣くは蹴るわで、診察室の外で待っていた夫も思わず飛び入り、大人四人がかりで抑えつけた。何故か親二人ともだんだん笑えてきて、それをこらえるのにも必死だった。週が明け、より詳しく診てもらうため再び耳鼻科へ。中耳炎は重度だった。膿を取り出すためすぐに切開。今度はわたし一人。抑えつけられず、スリッパ飛ぶわ、泣かれるわ蹴られるわ、はい上がられるわ、終いにはどこで覚えたのか「おわりにして〜!」とあらぶる魂の怒りまでも飛び出してきた。その必死さぶりに、ついに笑ってしまったのだった。

膿が出ると、急に元気が出はじめた昨日。
四日間のこもりっきりからも解放された。
いまわたしは広島行きの新幹線。福山駅に9時集合10時45分撮影開始。

ギリギリセーフ。

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月ちゃんとキラキラ星

「月ちゃんは? 月ちゃんは? 月ちゃん、どこ?」
保育園の玄関口を出るといつもこれ。お月様探し。ビルの谷間に見え隠れするせいか、月ちゃんはいくつもいると思っている。「あったで、月ちゃん。」「またあったで、月ちゃん。」と言いながら、今日も自転車に乗ってニューレパートリーの『キラキラ星』を夜空に向かって届けていた。

家に帰り、服を着替えようとすると、いつもこんなことを聞いてくる。
「かぁか、いたい?」「かぁか、ねんね?」
自我が芽生え始めた1歳半くらいから2歳にかけて、わたしは入院しているか療養しているかだった。そんな中、発した最初の2語文は「かぁか ねんね」だった。まわりのみなが、寝室で横になっているわたしに近づかない様ガードしながら、そう言ってくれていたのだろう。そしてそれをよく理解していた。一度も騒ぐ事も泣く事もなかった。けれど、その心に何かはあるのだろう。わたしが見えなくなると、保育園の先生にも「かぁかねんね」と言っているようなのだ。いたいかどうか、ねんねかどうか、毎晩聞かれるたびに、大丈夫よと、一番丁寧に答えるようにしている。

先日のこと。NHKのクローズアップ現代で立川談志さんの特集を見ていたら、「おじちゃん、えんえん。えんえんやなぁ。」と心配しはじめた。『芝浜』という古典落語の演目。伝説の一席と言われた映像で、談志さんが演目終了後ウンウンと納得しておられた。それはそれはすごい求心力。2歳だろうが何だろうが、グっと惹き付ける人は惹き付けるのだ。30分間、二人で楽しめた番組だった。ホロっときてしまったりもして。

明日は保育園のクリスマス会。昨年はわたしだけ参加できなかった。明日はリベンジの日。手編みのレッグウォーマーとニット帽に、ボーダーマフラー(写真のはわたし用ので、寒くて急遽巻いた様子)、nani iroさんの生地で作ってもらったパンツ。みしんの子さんの手づくりの品々を着て、歌いながら行こうと思う。

かぁかは、いたくないし。かぁかは、ねんねしないし。
おじちゃんは、えんえんちゃうで。
でも、月ちゃんはいっぱいいるで。

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元気があれば何でもできる

久しぶりに2歳5ケ月の息子と二人で過ごした週末。大袈裟だけど、この2年と5ヶ月の中で、初めて何ひとつしんどくなかった2日間だったと思う。夜9時台に寝てくれるようになったこともあるだろうけど、何より私自身の身体の調子が安定していることが大きい。嬉しさあまって自然に出た言葉は、「元気があれば何でもできる!」だった。休日出勤から帰ってきた夫にそう言うと、「おお!計らずもアントニオ猪木の言葉が出ているよ!」とそっちの方も喜んでくれていた。どうやらそれは本のタイトルらしい。

土曜日は朝から大きな郵便局の駐車場へ。そこは歩道から中がしっかり見れるところなので、安全かつ自由に居られる。偶然にも郵便バイクと郵便自転車の出発ラッシュに遭遇。局長らしき人が出てきて、出発前の局員の身なりをチェック。帽子忘れの自転車局員が多く、いろいろ注意されているところを横目で眺めていた。次から次へと出てくる赤白バイクにちょっと圧倒されて笑いが出てしまうくらいだった。ひとしきり盛り上がってから次は、地下鉄中央線へ。ホームに入らなくても2線の電車を眺めていられる駅へ。地下とは言え、やはり寒いのだけれど、郵便局員さんしかり駅員さんしかり、よく手を振ってくれて心はいつもホットになるのだった。

日曜日の朝からはちょっと遠出。自転車に乗って、弁天町のコーナンへ。私興奮、息子固まる。抱っこしながら、2階へと進んだ。買い物は小さなコンテナー(業務用運搬ボックス)。おもちゃ収納に使いはじめたきっかけがコーナンのグレーボックス(写真/中段真ん中)。軽くて強くて運びやすい。ちょうどトミカが20台くらい収まる。追加で買おうと思って行ったが、微妙に高価(1400円くらい)で売れなかったからか廃盤になり、安価(289円〜489円)で怪し気なブルーのボックスシリーズ(写真/中段両脇+上段真ん中)に入れ替わっていたのだった。残念。しかし珍しく自ら地上に降りて、楽しそうに積み上げている息子。そのままレジまで自分で運ばせて買って帰った。帰りの自転車に乗るまで「抱っこ」を言わなかった。ちょっとたくましくなっていた。ちなみにグリーンとイエローと少し濃いグレーのボックス(写真/上段右+下段)は以前、南堀江のD&DEPARTMENTさんで購入したもの(2500円〜2950円)。プラレールやブリオ、大きめのおもちゃ入れに。これに合わせてセミオーダーした足場板を使った棚に、とりあえずぴったり収まっている。次の春にはホットな白色に塗り変えたい。

息子の心がホットになるとどうなるか。1歳時代はダンスだった。NHKおかあさんといっしょの「ぱわわぷたいそう」をひたすら踊っていた。2歳時代に入り、それはどうやら歌に出るようになった。一番得意は昭和唱歌の『チューリップ』。覚えてしまった1番をエンドレスで歌い続けている。自転車に乗るとその声の陽気さと大きさはヒートアップし、居合わせた人は「何事か!」と振り返る。こちらはぎょっとするも、「おうおう、よいよい」とみな笑顔になってくれて、またホットになる。さすが大阪人。ありがたし。安心が確認できると常にゴキゲンな息子は、”常に風呂に入っている感じ”。

歌いはじめたきっかけはどうやら、わたし。気分が沈みそうだった時、実際にお風呂に入りながら自分と息子に歌っていたのが『チューリップ』だった。「さいた〜さいた〜チューリップの花が〜」。それともう1つは『うさぎとかめ』。「もしもしかめよ〜かめさんよ〜世界のうちに〜おまえほど〜歩みの のろい ものはない〜」。息子はこれらをなにわ筋沿いで、意気揚々と歌い上げている。そういえば、お腹の中時代からそんな感じだった。陽気に風呂につかっている感じ。エコーで見た時、笑いながらこちらに手を振っていた。

元気があれば何でもできる。
こんな日が1日1日、増えていきますように。

「元気ですかー!」

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