entoanのスリッポン

シューズクリエーター櫻井義浩さんの靴ブランド「entoan」(エントアン)さんの展示会へ。場所は大阪本町のカフェ&ギャラリー「chef d’oeuvre 」(シェドゥーブル)。以前、櫻井さんを撮影させて頂いたのをきっかけに、いつかその作品に足を忍ばせてみたいと思っていた。先日は革小物ユニットのAUTTAAさんとお話できて、今度はentoanさんともまたお話できることになるなんて。秋の訪れとともに、やってきた刺激的な日々だった。

櫻井さんとのお話の中で、「玄関にいる時間を楽しむ」という言葉があった。櫻井さんは玄関にある靴をぼーっと眺めたり、靴のケアをする時間がとっても心地いいそう。だからかな、entoanの靴は植物のような感じ。なんとも優しく力強く、有機的。また土へと帰っていくような。足跡のように壁に展示された作品。その中からずっと気になっていたスリッポンに、ついに足を忍ばせてみた。なんと軽やか。そう来たか、という感触だった。すっかり足から離れられなくなって、今年一番の贅沢なお買い物をすることになった。受注生産で自ら作られるため、11月の到着予定。33歳はスリッポンではじめようと思う。

それから再び、chef d’oeuvre さんにうかがったのは展示会も最終日に近い夜のこと。entoan展とともに東京からやって来られたエスペランサ靴学院の学院長さん、ジュエリーアーティストのLissa Hashimotoさん、そして神戸の靴職人さんと深い夜をご一緒することになった。深いと言っても午後8時半から。わたしにとって大阪の夜を一人で出かけるのは実に2年半ぶり。息子のお迎えに行って、ごはんをして、夫の帰りを待って、もうその頃には興奮がピークに達して熱が出そうだった。夫とバトンタッチして、いざ外に出ようという時、何とも言えない嬉しさがこみ上げてきて、涙が吹き出た。ど、ど、どうしたの?とびっくりしている二人は、とりあえずわたしの背中をさすってくれていた。この扉を開けたら外。妊娠して出産して子を抱えてからというもの、玄関には心配や緊張が常々渦巻いていた。けれども、この夜ははじめて心配も緊張もない解放感に満ちあふれた場所になったのだった。いや、もう、本当に嬉しかった。

櫻井義浩さんインタビュー(撮影させていただいた記事。近日の展示予定も。)
HiNGE – Lissa Hashimoto-(深い夜をご一緒させていただいたお一人。ジュエリーアーティスト橋本リサさん。)

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