芸術と科学のお話の狭間で

頭の中がギラギラでクタクタである。

昨日は朝一から珍しく住まいの”ビフォー”写真を撮影。これから生まれ変わり、いつか撮らせて頂くことになる”アフター”写真を頭の中でグルグル とイメージしては撮るを繰り返していた。人がいない、まだ何も起こっていない場所は見続けているとちょっと「目に見えない何か」が見えてきたりするから面白くも恐ろしい。

そして今日はというと朝一から3件の取材。細長い横断歩道が続いていたのは大阪大学の豊中キャンパス。モノレールに乗るだけでどうしてああも近未来な感じがするんだろう。でも降り立つとめちゃくちゃ現実。自動で目的地に辿り着くわけでも、運んでくれるわけでもなく、ひたすら汗をかきながら歩いて向かう。広いのだ。ところが取材先に入るとまたもや近未来に誘われることになった。芸術と科学を通した近い未来の人とテクノロジーのお話。それはそれはアカデミックでフューチャーで強烈だった。そんな中、インタビューが終わり最後に私が取り出すのは古い中判フィルムカメラ。なんだろこのあべこべ感。「ガチャン」というシャッター音が今日は妙に響き渡っていた。何と人間臭いことか。何とこの一押しの重いことか。芸術と科学のお話の狭間で、普段あまり気にしない音まで聞こえてきたのだった。

話は少しずれるが、画家の彼女と哲学者の彼がこの夏一緒になった。とても会いたくなった。

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山吹色のフラットシューズ

この週末は京町堀の「アートアンドクラフト」さんが手がけられたお住まいから最新の2軒を撮影させていただいていた。古いマンションがリノベーションされること。そこに住まわれている方々が楽しく笑顔で暮らされていること。そんな家と人をいつもいつも心トキメキながら見つめている。幸せ。

今日は久々にやってきた家族そろってのオフ日。本町のカフェ「シェ・ドゥーブル」さんで開催中の靴作りワークショップ『Shoes Laboratory 2010』の2日目にうかがった。そしたらせっかくなので記録写真をという事になって、息子が足にからまりながらも手持ちだったKLASSE Sで切り撮らせて頂いた。参加者の方々はびっくりされたのではないかと、ずっと気にしつつも、そんな事どうでもいいよくらいの真剣さと集中力で靴をトントン作られている姿がそこにはあったので遠慮なくお邪魔した。その中の1人。山吹色の作りかけのシューズを手にしていた女の子と目があって、あ、完成を見せてもらいたいなと思った。

それまでしばらくの時間は南船場の「Johnbull」さんへ。夫の脚が妙にほっそり見えるということで最近よくお世話になっているシュとした服屋さん。シュっとしているのに、こういう時にかぎって息子はアクセサリーショーケースにしがみつきながら一生懸命踏ん張っていた。そして泣く泣く特別にお手洗いをお借りすることになったのだが、これがもう史上最高に難しいオムツ替えとなったのだ。お店の一角で当然、赤子が入ることなどまずないという設定で人一人ギリギリ立てるかどうかくらいのスペース。ふたがプラスチックのため乗せるのもちょっとどうかという感じでほぼ空中で替えるしかなかった。冷や汗と脂汗が吹き出たひとときだった。もちろん外に出る時はシュとした顔で出たけれど。

そんな小さな空中戦を経てぴったり5時。間に合った。山吹色のフラットシューズは女の子の手からその足へとぴったりと合っていたのだった。

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白い器と白い靴を見た

羽織り物を一枚重ねてみた昨日のこと。

息子を育んで頂いている保育園での親向けイベント「給食試食懇談会」に仕事の合間に滑り込んできた。離乳食も完了期とやらになっている今日この頃。落ち着き出したかと思えば飛ばすは出すわのてんやわんやなのが実際のとこ。はてさてどんなお食事をどんな風に頂いているのかご紹介下さるという愛情いっぱいのありがたき企画。1番前に座ってかぶりついてしまっていた。そこでとにかく目が釘付けだったのが食器だった。「ユニバーサル・プレート」と呼ばれる白く美しいラインの磁器。ふちがせりあがりスプーンが滑らかに沿い、底が斜めなことでよりすくいやすくなるのだという。事実、食事風景のビデオ映像に映る我が息子はしなやかにスプーンをさばいていたのだった。まだ一歳二ヶ月という時なのに。感動の震えで椅子から転げ落ちそうになった。そして園にお願いして我が家にもすべて同じものをと値段も聞かずに発注してしまった。まさかと思ったけれど、その美しい器のデザインはあの白山陶器などのデザイナー森正洋さんだった。

上質なデザインにいち早く触れている息子の余韻を引きずりながら次は一路、本町のカフェ「シェ・ドゥーブル」さんへ。併設のギャラリーで今日明日と靴作りワークショップ『Shoes Laboratory 2010』を開かれている東京のエスペランサ靴学院さん。学院長と学校案内制作のための打ち合わせに合流させて頂いた。そこで目にしたのが、今度は美しい白い靴だった。学生さんの作品。ギャラリーの床にただぽんと置かれているだけなのに、なんともそれは柔らかで強く在った。白の力。それを取り囲むあらゆる上質な要素について、図らずも想い巡らし考える1日となったのだった。

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ブラッドオレンジジュースと珈琲と

先週末は久々にちょびっと「mogu camera」のお手伝いをしたり、北浜の「ルポンドシエル」というレトロな空間で一つの家族の時間を切り撮らせて頂いたりと濃密に過ごしていた。後半全身振り絞ったおかげで日曜日は枯れ木のようになっていたら息子もなんとなくグニュグニュしておったり。何かと繋がっているのだなぁ。月曜日はなんとか復活。息子写真を撮ろうとアトリエへ行くことにした。

こういう日はついている。道中の靭公園でご近所のお洒落ルノちゃんさん一家と合流しご一緒することに。1階のアンティーク喫茶「カルチェラタン」に出前をお願いしてまずはほっこりと。ルノちゃん父さんがブラッドオレンジジュースと珈琲を注文していた。アイスとホットなるほどね。勢いがあっていいな。

写真はルノちゃん母さんに最近のお仕事の中から『CAFE BOOK』(京阪神エルマガジン社刊)を見てもらっているところ。元カメラマンアシスタントさんだったからか、何かとギラギラ盛り上がる。いまや10年越しくらいの感覚でお付き合い。まだ出会って八ヶ月くらいなのにね。

ルノちゃんと息子はいつの間にやら裸足でつかず離れず真っ白のアトリエをペタペタと。この日もまた、家族写真を撮ってゆっくりと日が暮れていったのだった。

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KLASSE S というフィルムカメラ

FUJIFILMさんのクラッセS。いつも肩掛け鞄に入れてるカメラ。去年の春にラボマン・オグラユウジに薦めてもらった。NATURA CLASSICAの上位機種。単焦点の準広角38mm、わたしには微妙に難しい画角で何度もくじけそうになった。なのにF2.8のクリアな明るさやら何ともいいボケ味やら、さての時のセルフタイマーやら、およそ300gの邪魔にならないサイズ感やらシャープな黒の高級感やらで、思い返せば初めて長く持ち歩いているコンパクトカメラ。あぁ、なるほど、だんだんと家族のようになってきたよ。

goodbye写真はそうしてこのカメラで撮っている。

家族といえば、今週で朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」が終わるね。寂しいね。我々夫婦の毎日の楽しみだったなぁ。

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