月ちゃんとキラキラ星

「月ちゃんは? 月ちゃんは? 月ちゃん、どこ?」
保育園の玄関口を出るといつもこれ。お月様探し。ビルの谷間に見え隠れするせいか、月ちゃんはいくつもいると思っている。「あったで、月ちゃん。」「またあったで、月ちゃん。」と言いながら、今日も自転車に乗ってニューレパートリーの『キラキラ星』を夜空に向かって届けていた。

家に帰り、服を着替えようとすると、いつもこんなことを聞いてくる。
「かぁか、いたい?」「かぁか、ねんね?」
自我が芽生え始めた1歳半くらいから2歳にかけて、わたしは入院しているか療養しているかだった。そんな中、発した最初の2語文は「かぁか ねんね」だった。まわりのみなが、寝室で横になっているわたしに近づかない様ガードしながら、そう言ってくれていたのだろう。そしてそれをよく理解していた。一度も騒ぐ事も泣く事もなかった。けれど、その心に何かはあるのだろう。わたしが見えなくなると、保育園の先生にも「かぁかねんね」と言っているようなのだ。いたいかどうか、ねんねかどうか、毎晩聞かれるたびに、大丈夫よと、一番丁寧に答えるようにしている。

先日のこと。NHKのクローズアップ現代で立川談志さんの特集を見ていたら、「おじちゃん、えんえん。えんえんやなぁ。」と心配しはじめた。『芝浜』という古典落語の演目。伝説の一席と言われた映像で、談志さんが演目終了後ウンウンと納得しておられた。それはそれはすごい求心力。2歳だろうが何だろうが、グっと惹き付ける人は惹き付けるのだ。30分間、二人で楽しめた番組だった。ホロっときてしまったりもして。

明日は保育園のクリスマス会。昨年はわたしだけ参加できなかった。明日はリベンジの日。手編みのレッグウォーマーとニット帽に、ボーダーマフラー(写真のはわたし用ので、寒くて急遽巻いた様子)、nani iroさんの生地で作ってもらったパンツ。みしんの子さんの手づくりの品々を着て、歌いながら行こうと思う。

かぁかは、いたくないし。かぁかは、ねんねしないし。
おじちゃんは、えんえんちゃうで。
でも、月ちゃんはいっぱいいるで。

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