だいじょうぶだいじょうぶ
だいじょうぶだいじょうぶ。
保育園の先生がよくこう言ってくださる。2年間お世話になったその先生は、あと2日で退職されてしまう。人一倍敏感で、恐がりで、慎重派の息子が もう一人の家族のように安心感とぬくもりを感じていた先生。それもそのはず、わたしもどっぷりその胸に飛び込んでいたから。仕事のことも家のことも、身体のことも何でも。心配性なわたしの不安や悩みには、いつも手紙を添えて答えてくださった。4月からは新しい園生活。お部屋が変わる。ロッカーが変わる。机が変わる。椅子が変わる。布団が変わる。そのどれもに、先生はもういないんだ。夜になったら涙がポロポロ出てしまう。いまももう ポロポロ止まらない。
だいじょうぶだいじょうぶ。
母はよく言ってくれていた。わたしは2つ下の妹「みきちゃん」のことが物心ついた頃から心配で心配で、「みきちゃん、そこあぶないで。」「ついてきてや。」「ゆっくりやで。」と鬱陶しがられるくらい言っていた。お母さんがちゃんと見ていないような気がして、わたしが見なければ!と思っていた。お母さんはちゃんといっぱい見ていたのに。妹ばかり見て、お母さんが見えてなかった。案の定、”事”は起こった。自転車で前を行くわたし。玉付き自転車で後ろをついてくるみきちゃん。家の前の交差点で自動車確認よし、右よし、左よし、「だいじょうぶやで。」とゴーサインを出し渡った。幅5メートルあるかないかくらいの交差点。その5メートルをみきちゃんが渡り切るまで振り返り振り返り、振り返り振り返り走っていた。すると、ゴツ〜〜ン。電信柱に衝突。あぶないのはわたしだった。みきちゃんはその横を「おねえちゃん、だいじょうぶ?」と玉コロコロ鳴らしながら、あっさり通り過ぎていったのだった。そんな事はしょっちゅうだった。
だいじょうぶだいじょうぶ。
いまなら、ちょっと分かる。分かってきた。
案外、みんな、だいじょうぶ。