はじまりのチクチク

2歳児クラスへ進級して2日目。朝は毎日先生を探して、”シワ〜〜”と涙を流しているようだが、新しい担当のベテラン先生といつものお友達のいつもの様子を見てなんとか踏ん張っている。その踏ん張りは、無理している感じとはちょっと違う。泣いているのは我が家だけだけど、それでいいと思う。寂しかったり、不安だったり、感じたことを出せるのなら、それでいいと思う。

この数日は、わたしはわたしで踏ん張っていた。進級準備の縫い物。お昼寝用の敷きタオルとして使うバスタオルにゴムを付けたり、手拭きタオルにゴムをつけたり。これまでの縫い物は、母にお願いしたり、お友達の「みしんの子」さんにお願いしたり。有り難き幸せだった。だけど、今回はうっかりがんばってみようと思ってしまったのだった。

まずは新しいバスタオル選びから。ここは迷うことはなく、「今治タオル」。昨年、愛媛での写真ワークショップに講師として呼んで頂いた時に泊まったお宿のタオルが、すべてこの今治タオルだった。その質の高さには本当に感動した。今治タオルというのは1つのメーカーの名前ではなくて、1つのプロジェクト名のようなもの。タオル産地「今治(いまばり)」市で作られたタオルで、さらに厳しい審査を通過したものが「今治タオル」マークが付けられる。赤と青と白の清潔感漂うロゴデザインは、佐藤可士和さん。

とはいえ、ピンからキリまであるのは確かな今治タオル。さまざまな種類があるため、「タオルソムリエ」とやらがいらっしゃるくらい。ほんとは現場に行って確かめたいのだけど、今回はひとまず「メゾンドサンホーキンサンターノ」というホテル仕様のものを選んだ。なるほど、これはいい。届いた瞬間、嬉しくなった。2枚で5000円強。1日1時間半200日くらい使うことを考えるとお安いもの。

針と糸。これはいまだに小学校の時に支給されたお裁縫セットのもの。1980年代の懐かしいグリーンの針山。「みしんの子」さんが作ってくれた優しい服や小物たちを見てはイメージトレーニングして、チクチクスタート。ところが、サンターノはやはりしっかりしていて針が入らず、早速苦戦。早速休憩。土曜日は撮影仕事で西宮を駆け巡って、休む間もなく、またチクチク。日曜日の朝はデータ納品仕事で、昼は子守りで弁天町のコーナンまで出かけてリフレッシュ。そして迫り来る新学期スタートを前に、寝かしつけが終わってからラストスパート。

一針一針、時々指にも刺さりながら(なぜ?)、一針一針。そうしているうちに、不思議と穏やかな気持ちが訪れてきた。心がチクチク痛かった先生とのお別れを、チクチクチクチクと針と糸がどこかへ連れ去って行ってくれている感じがした。いや、違った。先生に頼り過ぎていた自分に気づかされた。仕事と育児と病気と、不安だらけの中で拠り所としていた存在。独り立ちせねばならぬ時が来たのだ。次へ進めるよ。針と糸が、背中を押してくれた。深夜1時、バスタオル8カ所、手拭きタオル4カ所、散歩帽子2カ所、合計14カ所のゴム付けが終わった。

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