水出し玉露のあるテーブル

住まいの撮影にうかがうと、毎回毎回新鮮なエナジーを吸収させてもらう。そこに宿る住人の魂というか、哲学というか、そういうものを全身に取り込みながら1枚1枚フィルムに残させてもらうことは、わたしの大切な仕事の1つ。

この日うかがったお家には、その方の哲学が端から端まで満ち満ちていて、それはそれはすごかった。それは例えば、玄関に入るまでにすでにほのかに香るお香だとか、計算された収納の佇まいだとか、絶妙なバランスで保たれている、北欧と中華と和のテイストだとか。普段の撮影(1.5h)では途中で休憩は挟まないのだけれど、あまりの濃さに思わず「すみません、お水ください。」とお願いしてしまったほど。

すると、するりと出てきたのが「水出し玉露」。一晩寝かせて作っておいてくださったというお茶だった。その味わいといったらもう、これぞ「和装の似合う大人」 という感じ。自分の青さにまで気づかされてしまいそうな、ドキリとするお味だった。

その一杯のお茶のおかげで、なんとか集中力を維持して3時間半の撮影を完走することができた。2LDKの長旅。九州新幹線に乗ったとすると、新大阪から熊本まで。長く遠く、どっぷり疲れての下車だった。

このお家のリノベーションを手がけられたのは京町堀のアートアンドクラフトさん。
車窓から見えた風景は、いつかまたご紹介したい。
いつかまた、あの水出し玉露をドキリとしながら頂きたい。

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