暖炉のあるおうち

仕事がはじまりました。
息子は保育園がはじまりました。
今日は一日データの中に埋もれて、納品作業。
明日はアートの取材から撮影がはじまります。

奈良のお話をもう少し。
2日目はまた場所を移して、今度は古墳の近くの暖炉のあるおうちへ。
ここは93歳のおばぁちゃんとその一家の別邸。
暖炉の煙突の横には木だけでできた渡り廊下が走っている。
この空間を挟むように、右手には若草山を望むための展望室、左手には美術工芸品のコレクション部屋。
一階の右手には茶室。渡り廊下空間のリビングとグランドピアノの間を挟んで、左手にはキッチンとダイニング、水回りと客間が3室ほど。
建築家さんがさまざまな木材を駆使して建てられたこだわりの空間が点在する。
訪問するたびに木々の経年変化を楽しませてもらっている。

毎年ここへ夫側の親戚一同、1歳から93歳まで18人が集結する。
今度はアマゾン系の甲高いお声が響き合う。4歳さんが3人もいると暖炉のあるおうちは熱さを増す。
おちおち座ってもいられない。
今年は”やかましい”を超えて、もはや”聞こえない”世界へ。
方やご高齢たちは補聴器のボリュームを下げておられたのか、いつもの朗らかさ。
わたしの耳にもボリューム調整器がほしいものだ。
そんな中、息子は人の多さに完全にフリーズしてしまい、一歩も下に降りず仕舞には客間のベットで寝てしまった。
走り回る小さな猛獣たちがどんなに叫ぼうが騒ごうが関係なし。
アマゾンの中で寝れるってすごい。

抱っこから解放されたわたしは、93歳のおばあちゃんから「柿なます」の作り方を伝授してもらっていた。
あまりにそのお声が優しくて、これは文字にするでもなく、写真やビデオでもない、音で残さねばと思った。
そこで「もう一度はじめからお願いします。」と伝えて、iPhoneのボイスメモを起動させた。

6分26秒の肉声。
アマゾンの雄叫びの狭間で、風のささやきのような音声を記録することができたのだった。

image_3.jpeg

Archives by Month