点々への視点

これは昨日、ある住まいの剥がされた床の跡。これからまさに「アートアンドクラフト」さんの手でリノベーション工事が始まろうという前の段階を撮影させて頂いていた。この小さな茶色の点線はなんですかとお尋ねすると、これは床材を接着するための糊の跡だと教えてもらった。なんとアーティステック。ダイナミック。コンクリートの上にあらゆる糊やら何やらが重なりあって一つの絵画のようにさえ見えた。こうした土台の上に住まいというのはさらに重なりあって、一つの暮らしというものができあがっていくのだなぁと、おそらくもう外には出ることのないこの模様を眺めて思った。

外にでると点々の雨が降っていた。

点々をすり抜けて次に向かったのはArt Jewelry Exhibition『Liisa Hashimoto / Chair a day』。ジュエリーデザイナーの橋本リサさんによる椅子をテーマにしたアクセサリーの展示会。大阪・本町のギャラリー「ESPACE446」はオフィスビルの奥にひっそりと佇まれていた。リサさんが常にモチーフとされている有機的な葉っぱやツタや雫、無数の小さな丸い点々は、まるで森の奥にでもいるような気持ちにさせられた。この点々がまたものすごい量なのだ。アクセサリーという小さなオブジェなので気づきにくいのだけれど。わたしはその点々が好き。ポートレート写真を撮らせて頂いてから、新たに一つアクセサリーの注文までさせて頂いた。ここぞという時のために。

保育園へのお迎えの時間には少し小さな点々の雨に変わっていた。

家に帰ると息子は右の親指と人差し指で何やら一生懸命つまんで持ってきた。わたしは右手をパッと開けて、ちょーだいと言うとそれはパラパラっと落ちてきた。白い点々。何かと思ったら、いつか息子が飛ばしたごはん粒だった。

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