陽気にゆっくりと

チリでの救出作戦が大成功する様子を見つめながら、わたしは東京・初台のアートスペースICCの中にある無響室の事を思い返していた。無響室というのは部屋全体が音の反響を吸収してしまう素材で囲まれていて、外部の音からも遮断された特殊な空間のこと。そんな場所でダムタイプの音楽・音響ディレクターでもあるサウンドアーティスト池田亮司氏の作品『db』を体験したことがあった。真暗闇の中にただ一人となって、サラウンドシステムによる大音響が爆発する。余分な反響がなくただただ振動としての音に囲まれた瞬間、空間の中での自分の位置が一気に失われてとてつもない圧迫感と不安感に襲われたのだった。3分間という作品だったのに、たった20秒で非常呼び出しボタンを押して係の人に助けてもらった。あれ以来わたしは閉所恐怖症になってしまった。チリの救出カプセルは直径70cm。その中での620mもの道のりを想像して一人身震いし続けていた。

さて今週はというと、研究週間である。来るべき仕事のためのリサーチと準備の連続。頭を使いすぎて昨日は熱まで出た。まだ来てない仕事のことなのに。でも来てしまったら大変なので、ここは一つ頭をひねっておこうと思う。身震いは熱のせいだったのかも。

そんな中、陽気にゆっくりと成長をつづけている息子。すべり台をよじ上ってはずりずり降りてきたりしている。日曜日には保育園の体育イベントで靭公園の運動場や芝生の上をテンション高めに走りまわってきた。ほぼわたしがだけど。はしゃぎすぎて普段出さないような声を出してしまい、このあたりから喉をやられていたというのも、身震いのはじまりだったのかも。

101011_171655.jpg

Archives by Month