撮影担当本ついに完成『天使突抜 367 』

京のマリンバ奏者でアンティーク着物コレクターとしても有名な通崎睦美(つうざきむつみ)さん。エッセイ『天使突抜一丁目』の著者としても知られる通崎さんの4冊目の著書がついに完成!「天使突抜」(てんしつきぬけ)とは、本当にある京都の町名。今回はなんと家を買われてできあがるまでのリノベーション奮闘記。解体から竣工まで京の街のアーティスト達とともに取り組まれた、世にも斬新なプロジェクト。完成したものは家というか、もはや美術品。わたしはその1年を要所要所で、ただただじっとファインダーから覗かせて頂いた。

はじまりは昨年3月。「家を買ったので、今度、撮ってもらえますか。とにかくボロボロなので。」という通崎さんからのお電話だった。通崎さんとはご縁あって5年ほど前から、プロフィールのお写真やコンサートの舞台写真、はたまたご自身の浴衣ブランド「メテユンデ」のイメージ写真などあらゆる通崎ワールドのお写真を担当させて頂いてきた。ハイセンスな通崎さんにはいつも全身しびれているのだけれども、今回まさか「家」とは。驚きとともに、何のこっちゃよくわからないまま、カメラを担いで出かけたのだった。

着いたら、本当にボロボロ長屋の一軒家。階段なんて抜け落ちそうで、裏鬼門のあたりなんて一発何か出そうなくらいヤバかった。それを画家でこの本のデザイナーでもある谷本天志(たにもとたかし)さん達がリノベーションするとおっしゃる。もうますます何のこっちゃわからなくなった。この時はまだ、誰もこの家が本になるなんて想像もしていなかったけれど、とにかく何かが起こると確信して、撮影はスタートした。

そういえば、その当時の息子はまだ生後8ケ月(写真中/当時の通崎さんと息子)。保育園入園前だったため、カメラと息子を担いでのいでたちだった。ベビーシッターには通崎さんの大切な教え子さんのsayuriちゃんが駆けつけてくださったり、通崎さんのお父様が町内中を抱っこしてあやしてくださったりしていた。通崎さんのお座敷の座布団の上でスヤスヤと昼寝もさせて頂いていた。

そうして、春を越え、夏が来た。ボロボロがすっかり解体され、スカスカになっていた。汗まみれのアーティスト達。そのエネルギー。その在り方。そしてじょじょに形作られていく土台や壁、階段に触れるうちに何のこっちゃわかってきた。同時にその頃、なんとなんとこの本の出版化が決定したのだった。

そうして、秋が来て、冬が来た。先にも書いたが、家全体がもはや大きな大きな美術品へと移り変わっていった。ここは住居ではなく膨大なアンティーク着物のコレクション倉庫として使用されることも、2階に美しく並ぶ箪笥の風景で立ち現れてきていた。そして真冬の12月ついに竣工。わたしは入院生活を経て、完成写真と表紙の撮影を終え、つい先日は印刷所まで著者とデザイナーとカメラマンと編集者という勢揃いでの最終色校正に赴き(写真下)、約1年におよぶ奮闘記に終止符が打たれたのだった。

本のタイトルは『天使突抜367』。京の老舗出版社、淡交社(たんこうしゃ)より刊行。2011年2月末には書店に並ぶ予定。現在予約も受付中!なんと予約特典のポストカードにはわたしの撮影写真も。一体全体、京の街の一角で一年間も何が起こっていたのか。本当に面白いリノベーション奮闘記の完成です。

通崎好み製作所blogより(わたしも息子もちょこちょこ登場)
『天使突抜367』予約フォーム(予約締切:2月25日(金)中までに入金確認のできた方)

20110219.jpg 100310_14580511.jpg 110209_155631.jpg

Archives by Month