哲学者と文化人に囲まれて
土曜日。気恥ずかしいながらも、大阪新町のヘアサロンgiboさんで髪を編んでもらってから出かけた先は、神戸御影の弓弦羽神社(ゆづるはじんじゃ)。哲学者の彼と画家の彼女の結婚式。六甲山から吹き降りる神聖な冷たい風が心に残る、二人らしい厳かで美しい半分野外の神前式だった。
披露宴の席では、大阪中之島などで活躍中の「哲学カフェ」の哲学者たちや、大学教授さんなど、興味津々のお顔ぶれ。そして座席にはブランケットをそっと置いてくれる、二人のナイスな心遣いに感謝した。その席の皆様は写真が好きで、ある哲学者は「一生懸命話している人の顔が好き。」と盗み撮りちっくなスタイルで、教授は最新のチェキを持参されてその場で撮っては人にあげてを繰り返すおちゃめなスタイル。写真の話から臨床哲学の話まで、さながらそこは文化サロンと化していた。一瞬結婚披露宴であることを忘れてしまいそうだった。だから、ふいに司会の方に「花嫁さんは学生時代どんな方でしたか?」とマイクを振られて、「ストイックでした。」と可愛くない事を言ってしまい失敗した。本当の事だから仕方なかったのだが、がっくり来てしまい同席していた夫に「どうしよ。。。」と小声で言ったら、「サディスティックでした。って言った訳じゃないしいいんじゃない。」と小声でフォローされて、あ、そうだなと納得した。そんな宴を作りあげる二人。いつも通り仙人の様なたたずまいの彼。絵の具の付いてない綺麗な着物を着こなす彼女。さすがだった。
日曜日。スカートはやめてジャケットを羽織って、モエ・エ・シャンドンのシャンパンを片手に向かった先は京都の天使突抜367。出版記念と通崎好み倉庫「367」の完成記念パーティー。おもてなしははしからはしまで通崎睦美さん自らという贅沢。『天使突抜367』(淡交社刊)の中にも出てくる「現場メシ」を20人前で2日間かけて用意してくださった事に胸が熱くなった。通崎さんはみんなの”母”のようだった。そして見渡せばそこは京の街の文化人だらけ。「367」のリノベーション工事メンバー谷本天志さんを筆頭にほぼ全員に加えて、淡交社の北村さんに神野さん、古材を提供してくださった上田善の上田さん、古材文化の会の建築家瀧澤さんに、デザイナーの西岡勉さん(以前の著書のデザインを手がけられた)、着付けの大西先生に、手洗い場の陶器を焼かれた陶芸家近藤あかねさん、新聞の記者さん、そしてなぜか通崎さんがこの家を買われるために必要になった実印を作られたハンコ屋さんのお兄さんまで。まさに通崎好みリアルに大集合。お腹いっぱい、胸いっぱい、のぼせて鼻血が出そうだった。
この2日間の共通点。それはわたしにカメラ係を託さず、ゆっくりの時間をくださったこと。粋な計らいがこの上なく嬉しかった。いや、粋も何も、それがきっと自然だったことが嬉しかった。だから自然にカメラはたくさんシャッターを切っていた。