アイデンティティが迷走中

数時間だけ京都橘大学の定期広報誌『Tachibana Being』の表紙撮影へ。30分を3セット。間に休憩時間を頂いての超慎重モード。こんな今のわたしを、それでもと受け入れてくださる皆様に胸が熱くなる。7年間の積み重ねと安心感。馴染みの場所と馴染みの人々。これらがなければ踏み出せてなかった。入院療養中は孤高の写真家オグラユウジくんが、引き継いでくれたりもしていた。猛暑とか、蒸し暑いとか、そんなの吹き飛ばして今日はやってみようと思った。髪の毛を伝って滴り落ちる水滴が、涙でなく、今日は汗だった。なんと幸せなこと。だけどもやっぱり悔しいけれど、1セット30分が限界。1セット2時間に戻れるまであと、どれくらいかかるんだろうか。

京都の山の手は猛暑ながらも、盆地部分に比べれば少々楽に感じる。大阪の自宅はマンションということもあってか、大阪湾からの風が抜けて、さらに快適さを実感する。実家はほぼ盆地のど真ん中。隙あらば「抱っこ」を引き連れて帰省した4日間は、何度「暑い暑い」「蒸し蒸しする」「蚊多い」「京都しんどい」を発したことか。すっかり大阪人だ。27年間一歩も”ヨソ”で暮らしたことないまま、結婚して、あれだけ「大阪行くのイヤだ」とのたうち回っていたの誰だ。ホームシックになって、京都で仕事なんぞあらば数週間帰らなかったの誰だ。町内中に「出戻りやありまへんえ」と言いながら何度も何度も戻ってたの誰だ。

大阪生活5年目でようやく慣れてきた今日この頃。それもこれもすべては人。京都とはまた違う種類の「今」を分かち合える友や店に出会ってきたこと。息子の出現によって、知らず知らずそれらは点から線となり、さらに輪郭をおびていった。馴染みの服屋さん、馴染みの植物屋さん、馴染みの散髪屋さん、馴染みの雑貨屋さん、馴染みのパン屋さん、馴染みの修理屋さん、馴染みの八百屋さん、馴染みのお医者さん、馴染みの喫茶店、馴染みの道、馴染みのご近所さん。染み染み染み染みと染み込んで、わたしのもう1つの街はそうして出来上がってきた。

これから一体どうなるんだろうか。わたしは。街は。人は。日本は。

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