ぼくらは出会った

23日、息子は2歳になった。

朝から夕方まで携帯電話には数々のメッセージを頂いたにも関わらず、わたしはケータイも家の鍵も保育園バックに忘れたままの半日を過ごした。ロッカーの中でひっそり祝福を受け取り続けていたのかと思うと、それはそれで嬉しく幸せを感じた。そしていつもより1時間早く迎えに行き、まだ光のあるその1時間を使ってアトリエで記念写真を撮った。

2年前のあの日々は今でもくっきりはっきり覚えている。臨月前は戦闘モードで、なぜか『北斗の拳』の一時期の主題歌「TOUGH BOY」(TOM☆CAT/1987年)が聴きたくて、すぐに持ってきてとオグラユウジくんに頼んだ。そして本当にすぐ持ってきてくれた。そして本当に歌詞がよかった。臨月に入ってやっと己の身体が理解できてきて、早く出てきてほしいというよりは、まだまだこのままという気持ちでいっぱいだった。ついに待ち人の合図が来て、早く病院に入らねばならぬのに、駐車場では「いやだ」と泣いていた。
もう予定日から10日も経っていたのに。

待ち人をはじめて抱えた瞬間わたしの口から出た言葉は。
「デンジャラス!」だった。
そしてあまりにも動物的に、天に向かってガッツポーズをしていた。
感動とか、涙とか、そんなふわっと柔らかいものではなかった。

あれから2年。
やっとやっとあの日々にグッドバイできはじめている。
2年ぶりに「TOUGH BOY」が聴きたくなったのだから。

23日の夕暮れは、今年もまたうっすらオレンジがかった夕日が射し込んでいた。

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雨靴の音

ペタペタペタ。

午前11時の仕事場の階段を上がって来てくれたのは「みしんの子」一家だった。
最近の作品”陽気なパンツ”をお揃いで。
手づくりスイートポテトケーキを持って来てくれた。
服だけじゃない。食べ物もいける「みしんの子」さん。
もう1人。
窓際の二人に優しいまなざしを送っているのは、ウェブデザイナーの父さん。
いつかそんな父さんともお仕事できたらなぁと思っていたら、チャンス到来。
ただいま進行中のプロジェクトを一つ一緒に。
わたしの写真や周辺を知ってくれているという安心感。
いいものに仕上げたい。

近況を話せば止まらない。
もう一度ペタペタペタと階段を降りて、1階のアンティーク喫茶店カルチェラタ
ンさんでサンドウィッチランチ。わたしはここのBLTサンドが好き で、ランチタ
イムだとそこにスープと珈琲とデザートが付いて900円。近くのサラリーマンや
OLさんに囲まれて、一家とわたし、浮いていた。次は カレーを食べようか。

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ダボダボパンツ

やっぱりか。そうきたか。

息子の手足のブツブツは園で目下大フィーバー中の「手足口病」かと、思いきや、「ウィルス性中毒疹」という何ともおどろおどろしい名前のアレルギーの一種だった。風邪の菌が高熱とともにアレルギー反応を起こして肌に出る発疹。手足裏にはできにくく、乾いていて、左右対称性が特徴。他の子と何かが微妙に違う気がしていたら、その勘は当たっていた。3日間、3つの病院を渡り歩いて3つ目で出た結論。疲れたけれどすっきりした。何ともおどろおどろしいのだけれど、怖くない。大丈夫。今日も隙あらば踊っているのだから。

足元には、ダボダボパンツ。
「みしんの子」さんが郵便受けに入れておいてくれた、ダボダボパンツ。
うっすらと痒みを帯びているブツブツ脚を、ゆるやかに守ってくれている。

タイトなファッション、タイトな体、タイトな仕事、タイトなスケジュール。
タイトタイトな世の中に、ダボっと広がる風穴ふたつ。

みしんの子(服と人。心地よいスタンス。6/5ダボダボパンツの記事も)

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ごきげんな仕事場

火曜日の仕事場は、ラボ部門の「mogu camera」が定休日。
お客様の出入りもないため、結局、今日はダボダボパンツの息子を連れて仕事場に。

保育園で頂いてきた「手足口病」という病気は、その名の通り手とか足とか口とかにブツブツと発疹ができるウィルス性の感染症。登園は様子見との指示。高熱が出たり、ひどい場合は真っ赤にじゅくじゅくしたりするみたいなのだけれど、息子の場合手にも足にも口にもうっすら程度で微妙なところ。熱もないし、元気だし。敏感肌のため、何かにかぶれたのかもしれないし微妙なところ、という微妙な診断で微妙にやっかいな展開に。

わたしは何とかデスクワーク。夫も何とかデザインワーク。
その間で、息子はラボマン小倉優司くんの撮影仕事を眺めたり。
植物の水やりを手伝ったり。
窓の向こうのゴミ収集車やミキサー車を抜かりなく報告したり。
そうそう、車と電車好きな男子街道まっしぐら。
アニメーションより、実写。
いまだにアンパンマンもトーマスも興味なし。
隙あらば「ぱわわぷたいそう」(fromおかぁさんといっしょ)を踊っていたい。

そんな世界を、今日もごきげんに謳歌している。

mogu camera(大阪市西区土佐堀2丁目。ごきげん開店日は水〜土)

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郵便受けからフレーバー

どうしたことか、我が家の郵便受けはよい香り。

ある時は、靴職人の彼女からハーブティブレンドが。
ある時は、画家の彼女から「カラフルな珈琲豆」と題した水彩画が。
ある時は、みしんの子の彼女から息子向けのダボダボパンツが。
ある時は、写真好きの彼女から手づくりのバックが。

どうしたことか、はがきに手紙、郵便受けはいつも忙し気。
励ましエールが手に取る形でやってくる。

今日はハーブティから「疲れ目にやさしいブレンド」を1杯。
ところが。それも束の間、保育園から「お急ぎお迎え」コール。
まさかのブツブツ。
こんどは”手足口病”がやってきた。

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こちら寝転びながら

一昨日は仕事場で新聞記者さんとのお打ち合わせ。昨日は進行中のプロジェクトの写真確認と倉庫でのフィルム探しで、ひさびさの長時間労働に脚のふくらはぎが吊りそうになった。そこへ友人からのメール。「油」「断」「大」「敵」の4文字が。そうそうその通り。今日も心にくくり付けて、静かにしている。

寝転んでいても、写真の仕事は撮り終えたと同時にどこかで動いていることもあって、そうしたところが面白い。寝転びながら最近の仕上がりを、いくつか開いてみた。

左上の『ACB』は大阪・京町堀のリノベーション会社アートアンドクラフトさんの会報誌。会報誌だけれど、街のどこかで手にとれたりもする読み応えのあるフリーペーパー。今号の表紙と中身は1回目の入院の直前に撮らせてもらったもの。マンションリノベーションをもっと身近に楽しく安く、それでいて個性的。新しいリノベーションシステム「TOLA(トラ)」の紹介。ホームページのイメージ写真も含めて、どうかこのシステムがより良くより多くの方々に繋がってほしいと思いを込めて、すべて中判フィルムに焼き付けさせてもらったのだった。

その下のカレーライスは何度見返しても食べたくなる。エルマガMOOK『GREEN LIFETIME BOOK』(京阪神エルマガジン社)より。わたしはめったに料理写真は撮らないのだけれど、このカレー写真は最初で最後にして最高。そしてお味こそが最高。木津川のお花とカフェのお店「vert de gris(ヴェール・デ・グリ)」さん。奥様がお花。旦那様がカフェ。奈良の「くるみの木」で腕を磨かれた旦那様のカレーには優しいお野菜がゴロゴロ転がって。夢かと思うような光が射し込む取材だった。このGREENにまつわる担当4ページは1回目と2回目の入院の狭間の調子のよいひとときに。編集さんから「旅気分でどうぞ」というご指示だったため、ならばと、三脚も持たずフィルム一眼レフカメラCONTAX RTSとフィルムコンパクトカメラKLASSE Sだけ首から下げて。フィルムはFUJIFILM PRO400。もうしばらくは取材は難しいため、このカレーライスがほんとに最後かも。いや、わからないけれど。どちらでもいいや。すごいカレーに出会えたから。

そして右上のちらっと見えているのは、もはや撮ってもいない。自分が出てしまっている。写真雑誌『カメラ日和』(第一プログレス)より。デジタル一眼レフカメラNikon「D5100」の作例写真。黄色い帽子のカメラマン小倉優司くん撮影。これも入院と入院の狭間のひとときに。当時息子1歳9ケ月。食事・遊び・睡眠シーンへと段取りよく。被写体のキモチを確認できた、貴重なひとときだった。

こちら寝転びながら、今日も一日お疲れさま。

アートアンドクラフト(HP/News blog竣工写真も担当)
新しいリノベーションシステム「TOLA」(写真は一日のドラマ仕立てを提案&撮影)
京阪神エルマガジン社『GREEN LIFETIME BOOK』(5/20発売1200円)
カメラ日和×ニコンDシリーズ(作例写真誌面全体がちらっと)

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