こもりっきりの四日間

これは2時間抱っこから奇跡的に解放された瞬間。

クリスマス会には、案の定固まって『キラキラ星』も歌えなかったものの、ごきげんに母子で参加できた。ところが帰宅するなり「みみ、いたい!」と言い出し、昼ご飯も食べずすぐに昼寝。嫌な予感は的中し、30分もしないうちに大泣きで起き、発熱39度。家では普段めったに泣かない(一週間に一回あるかないかの)息子が、この世の終わりのごとき形相で泣き苦しんでいた。すぐに夫を呼び、ともに急病診療所へ。結果、はじめての中耳炎だった。二年分くらいの耳アカ取りだけでも凄まじく泣くは蹴るわで、診察室の外で待っていた夫も思わず飛び入り、大人四人がかりで抑えつけた。何故か親二人ともだんだん笑えてきて、それをこらえるのにも必死だった。週が明け、より詳しく診てもらうため再び耳鼻科へ。中耳炎は重度だった。膿を取り出すためすぐに切開。今度はわたし一人。抑えつけられず、スリッパ飛ぶわ、泣かれるわ蹴られるわ、はい上がられるわ、終いにはどこで覚えたのか「おわりにして〜!」とあらぶる魂の怒りまでも飛び出してきた。その必死さぶりに、ついに笑ってしまったのだった。

膿が出ると、急に元気が出はじめた昨日。
四日間のこもりっきりからも解放された。
いまわたしは広島行きの新幹線。福山駅に9時集合10時45分撮影開始。

ギリギリセーフ。

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月ちゃんとキラキラ星

「月ちゃんは? 月ちゃんは? 月ちゃん、どこ?」
保育園の玄関口を出るといつもこれ。お月様探し。ビルの谷間に見え隠れするせいか、月ちゃんはいくつもいると思っている。「あったで、月ちゃん。」「またあったで、月ちゃん。」と言いながら、今日も自転車に乗ってニューレパートリーの『キラキラ星』を夜空に向かって届けていた。

家に帰り、服を着替えようとすると、いつもこんなことを聞いてくる。
「かぁか、いたい?」「かぁか、ねんね?」
自我が芽生え始めた1歳半くらいから2歳にかけて、わたしは入院しているか療養しているかだった。そんな中、発した最初の2語文は「かぁか ねんね」だった。まわりのみなが、寝室で横になっているわたしに近づかない様ガードしながら、そう言ってくれていたのだろう。そしてそれをよく理解していた。一度も騒ぐ事も泣く事もなかった。けれど、その心に何かはあるのだろう。わたしが見えなくなると、保育園の先生にも「かぁかねんね」と言っているようなのだ。いたいかどうか、ねんねかどうか、毎晩聞かれるたびに、大丈夫よと、一番丁寧に答えるようにしている。

先日のこと。NHKのクローズアップ現代で立川談志さんの特集を見ていたら、「おじちゃん、えんえん。えんえんやなぁ。」と心配しはじめた。『芝浜』という古典落語の演目。伝説の一席と言われた映像で、談志さんが演目終了後ウンウンと納得しておられた。それはそれはすごい求心力。2歳だろうが何だろうが、グっと惹き付ける人は惹き付けるのだ。30分間、二人で楽しめた番組だった。ホロっときてしまったりもして。

明日は保育園のクリスマス会。昨年はわたしだけ参加できなかった。明日はリベンジの日。手編みのレッグウォーマーとニット帽に、ボーダーマフラー(写真のはわたし用ので、寒くて急遽巻いた様子)、nani iroさんの生地で作ってもらったパンツ。みしんの子さんの手づくりの品々を着て、歌いながら行こうと思う。

かぁかは、いたくないし。かぁかは、ねんねしないし。
おじちゃんは、えんえんちゃうで。
でも、月ちゃんはいっぱいいるで。

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元気があれば何でもできる

久しぶりに2歳5ケ月の息子と二人で過ごした週末。大袈裟だけど、この2年と5ヶ月の中で、初めて何ひとつしんどくなかった2日間だったと思う。夜9時台に寝てくれるようになったこともあるだろうけど、何より私自身の身体の調子が安定していることが大きい。嬉しさあまって自然に出た言葉は、「元気があれば何でもできる!」だった。休日出勤から帰ってきた夫にそう言うと、「おお!計らずもアントニオ猪木の言葉が出ているよ!」とそっちの方も喜んでくれていた。どうやらそれは本のタイトルらしい。

土曜日は朝から大きな郵便局の駐車場へ。そこは歩道から中がしっかり見れるところなので、安全かつ自由に居られる。偶然にも郵便バイクと郵便自転車の出発ラッシュに遭遇。局長らしき人が出てきて、出発前の局員の身なりをチェック。帽子忘れの自転車局員が多く、いろいろ注意されているところを横目で眺めていた。次から次へと出てくる赤白バイクにちょっと圧倒されて笑いが出てしまうくらいだった。ひとしきり盛り上がってから次は、地下鉄中央線へ。ホームに入らなくても2線の電車を眺めていられる駅へ。地下とは言え、やはり寒いのだけれど、郵便局員さんしかり駅員さんしかり、よく手を振ってくれて心はいつもホットになるのだった。

日曜日の朝からはちょっと遠出。自転車に乗って、弁天町のコーナンへ。私興奮、息子固まる。抱っこしながら、2階へと進んだ。買い物は小さなコンテナー(業務用運搬ボックス)。おもちゃ収納に使いはじめたきっかけがコーナンのグレーボックス(写真/中段真ん中)。軽くて強くて運びやすい。ちょうどトミカが20台くらい収まる。追加で買おうと思って行ったが、微妙に高価(1400円くらい)で売れなかったからか廃盤になり、安価(289円〜489円)で怪し気なブルーのボックスシリーズ(写真/中段両脇+上段真ん中)に入れ替わっていたのだった。残念。しかし珍しく自ら地上に降りて、楽しそうに積み上げている息子。そのままレジまで自分で運ばせて買って帰った。帰りの自転車に乗るまで「抱っこ」を言わなかった。ちょっとたくましくなっていた。ちなみにグリーンとイエローと少し濃いグレーのボックス(写真/上段右+下段)は以前、南堀江のD&DEPARTMENTさんで購入したもの(2500円〜2950円)。プラレールやブリオ、大きめのおもちゃ入れに。これに合わせてセミオーダーした足場板を使った棚に、とりあえずぴったり収まっている。次の春にはホットな白色に塗り変えたい。

息子の心がホットになるとどうなるか。1歳時代はダンスだった。NHKおかあさんといっしょの「ぱわわぷたいそう」をひたすら踊っていた。2歳時代に入り、それはどうやら歌に出るようになった。一番得意は昭和唱歌の『チューリップ』。覚えてしまった1番をエンドレスで歌い続けている。自転車に乗るとその声の陽気さと大きさはヒートアップし、居合わせた人は「何事か!」と振り返る。こちらはぎょっとするも、「おうおう、よいよい」とみな笑顔になってくれて、またホットになる。さすが大阪人。ありがたし。安心が確認できると常にゴキゲンな息子は、”常に風呂に入っている感じ”。

歌いはじめたきっかけはどうやら、わたし。気分が沈みそうだった時、実際にお風呂に入りながら自分と息子に歌っていたのが『チューリップ』だった。「さいた〜さいた〜チューリップの花が〜」。それともう1つは『うさぎとかめ』。「もしもしかめよ〜かめさんよ〜世界のうちに〜おまえほど〜歩みの のろい ものはない〜」。息子はこれらをなにわ筋沿いで、意気揚々と歌い上げている。そういえば、お腹の中時代からそんな感じだった。陽気に風呂につかっている感じ。エコーで見た時、笑いながらこちらに手を振っていた。

元気があれば何でもできる。
こんな日が1日1日、増えていきますように。

「元気ですかー!」

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その穴の空いた壁に

神戸女学院大学パンフ撮影も4年目に入った。編集者の青山ゆみこさんは開口一番「元気そうですね。」という言葉を下さった。嬉しい。ちょうど去年の今日から半月、わたしは入院生活に入ったのだった。1ケ月以上続く咳で肋骨は折れ、40度近い高熱にダウンし、あらゆる検査の結果4つの細菌感染症から重症肺炎を起こしていることがわかった。そしてさらに4ケ月後、再び猛烈な細菌感染症に襲われ、今度は何度も夜中に呼吸困難の発作が起こり、そのたびに壁を叩いてえずいていた。再びの重症肺炎と気管支喘息。ぞっとするくらい苦しくて、涙さえ出なかった。1回目の入院以上にダメージの大きかった2回目の入院。ほとんど誰にも言えなかった。

応援団はたくさんいれど、自分1人で闘っているつもりでいた20代。29で会社を作って、30で母となり、さらにその闘い欲が加速して、32で限界をあっという間に通り越して自分ではブレーキもきかず、分厚い壁に思いっきりぶち当たってついに止まるが、その壁に埋まってしまって出てこれない。そんな感じだった。壁の中でもがき続けた1年間。自分のせいにしたり、人のせいにしたり。散々な有様だった。ただ片時も「最悪」とは思わなかった。だけど、もうさすがにアカン。家族や友人や仕事仲間に心配や苦労をこれ以上はかけたらアカン。今度こそは全力で壁から出るのではなく、試行錯誤しながら、壁を壊さない程度に慎重に出てくる、そんな1年だった。そうして33が来た。今からは、その穴の空いた壁にいろんな人と一緒にいろんなドアをつけて、いろんな向こう側へそっと行ってみたい。

18歳の時、写真をポストカードにしてアートマーケットで売ったら売れてしまい、写真部を作れば部員が150人集まり(もちろん残ったのは数十人)、その楽しさから写真とプリントにのめり込んで、一気に15年。写真とプリントはいつ何時も、人を集めてくれる。それを信じて、守り続けた。3年前にはその名もそのまま「写真とプリント社」という自然光スタジオとプリントラボを一体化した無謀な空間を、仲間と一緒にオープンした。フィルム写真メインというやっかいなカメラウーマンを、有り難くも面白がってくださる無謀な方々。そんな人が最後の一人でもいる限り、何としてでも続けたい。どさくさまぎれに、そう宣言する。

思い返せば、入院中も、病室にちょっと貼っていた写真から話は広がって、次から次へと妙に看護士さんやら先生が長居する空間になっていた。研修医にはカメラ選びまで机上でつきあった。保育園ではいつも全開であーだこーだと写真のことを話すせいか、ほとんどのお母さんと先生が応援してくれている。ついには、ある方から100台近くのクラシックカメラを譲り受けるというダイナミックな出来事が巻き起こったりもした。夏から秋にかけては何度も自転車で仕事場まで運び入れ(夫が)、会社オープン3周年記念にマーケットを開くまでになった。そして思いっきり売れた。使えないジャンク品も、見方を変えれば可愛いインテリアになったりする。何てこった。イケてるやん。ちょっと調子に乗ったひとときもあった。ありがた過ぎてもうよく分からなかった。

また壁に埋まっても、また這い出てくるよ。
その穴の空いた壁に、何度でもドアをつけるよ。

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銀杏並木を駆け抜けて

今朝のなにわ筋は銀杏並木が最後の輝きを発しながら、はらりはらりと黄色い葉っぱを落としていた。

今日は月に数回だけやってくる保育園送り担当の日。自転車の前に取り付けているシートに息子を担ぎ入れて、着いたら「抱っこ」、ロッカーの前で離さない阪急電車のミニチュアと一戦繰り広げ、這々の体で脱出、あ〜慣れない慣れない。すぐにスタジオの掃除、換気、撮影準備、朝昼兼用食事、お茶菓子を向いのスーパーで買って、被写体さん到着、駐車場誘導、荷物搬入、スタイリング、撮影、休憩、撮影、休憩、撮影、撤収、休憩、掃除、戸締まり、夕飯買い物、一瞬帰宅、手洗いうがい、鼻腔洗浄、夕飯仕度、お迎え、阪急電車のミニチュアと一戦、出たら「抱っこ」、自転車に息子、月と救急車と消防車と郵便車確認付き合い、着いたら「抱っこ」、玄関で着陸、手洗いすぐ夕飯、阪急電車並べに付き合い、乗り物DVDに付き合い、オムツ替えて、牛乳飲ませて、風呂入れて、パジャマ着せて、髪乾かせて、YouTubeで阪急見せて、はみがきして、水飲ませて、阪急見せて、寝かしつけ、寝て、夫東京から帰宅して、洗濯干して、TV東京のガイアの夜明け「IKEAの苦戦」「なぜ家具が売れないのか」を見て、今に至る。あ〜忙しい忙しい。無理無理無理。ギリギリすぎる。

阪急電車と阪急電車の狭間で、なんとか生きている。

わたしが入院していた病院の面会室から見えていた電車。
それが阪急電車。

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ソファと珈琲とKLASSEと

23日、フィルムコンパクトカメラKLASSEを使ったワークショップ第2弾『Days and Colors in Arts&Crafts』を無事に7時間完走。急に冷え込んだ朝10時から途中小雨も通過しながら、一緒に走ってくださったのは10代から40代までの幅広い年齢層のみなさまだった。普段からフィルムカメラを使っている方、iPhone中心の方、デジタルコンパクトの方、お母さんからもらったデジタル一眼の方、ほとんど撮ってない方。色々なスタイルながらも、でも何だか気になっていた「フィルム写真」「KLASSE」という共通点がそこにはあった。

会場は大阪・京町堀のリノベージョン建築会社「Arts&Crafts」さんのショールーム。ゆったり革ソファとカリモクソファ、赤いシートの木の椅子、木の机、お洒落な白いキッチンからは珈琲やお茶のサーブ、ゆらり揺らめく照明器具とBGM。ほっこりゆっくり居心地のいい空間の中に身を置かせてもらってのワークショップ。はじまりから、みなのキモチがぎゅっと中心に向かっている感じがしたのだった。一気にトークもドライブかかり、いま本当に大事にしているKLASSEの事をありのままお話することができた。それは何というか、自分の好きな人の話をするような。

撮影の実践は図らずも、参加者全員で場づくりするところからはじまった。白い壁面を作る為に、会場にかかっていた何10kgとする重い展示物を移動させたり、ソファを動かしたり、鉄のテーブルを動かしたり。そうして作った空間は一瞬にして”皆のもの”になった。そうして撮った写真は、やっぱりいいものになるんだ。いつも撮影現場でやっているようなことを、ワークショップでもそのままできたこと。これは今回ひっそり嬉しい出来事だった。みなはきっと気づいてないだろうけれど。

今回のプリントはArts&Craftsさんのショールームから徒歩5分に位置する弊社「写真とプリント社」が担当。みながランチをしている2時間の間で、ラボマン小倉優司がフル回転してくれた。「プリントしやすかったよ。」というラボマンの言葉ほど、嬉しいことはない。事実、参加者みなのフィルムのテンションは高く、1本通して楽しめるものばかりだった。

「思った色が出て嬉しい。」「ピントが合っているのか分かり辛かったけれど、合っていてほっとした。」「人撮るのってやっぱり難しい。でも楽しかった。」「撮ったなぁと思っても、まだ5枚目とか。新鮮だった。」「今年一番たくさん撮った。」「思った以上によく撮れていて、びっくりした。」「KLASSEいいなぁ。」「フィルムいいなぁ。」そうした言葉が、夕暮れのショールームに飛び交いながら、染み染みとワークショップの幕は閉じていったのだった。

この冬はじめの、思わぬ1枚。みなの手元に生まれた事を思い返しながら、また沸々と次なるDays and Colorsをイメージしはじめている。

Arts&Crafts(中古マンションや中古戸建てのリノベーションの提案から販売、施工まで。個を大切にした住まい方を実現してくれる熱い心を持ったスタッフたち。新たに大阪R不動産の運営も。)
写真とプリント社(ラボ部門「mogu camera」は11/23おかげさまでオープン3周年。年賀状の受付もスタート。)
Days and Colors(2011年秋、愛媛県・松山からスタートした平野愛が講師をつとめるKLASSEフォトワークショップ。)

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セレクト型リノベーションとモデル撮影

大阪のリノベーション建築会社Arts&Craftsさんでの写真ワークショップ、いよいよ明日。今日はこれから貸し出し用のKLASSEの最終チェックや空間確認などへ。松山に引き続き、またまたKLASSEの面白さをみなと分ち合えるのかと思うと、そわそわしてきた。明日お会いできるみなさまには、道中気をつけて地図をよく見て元気な笑顔でいらしてほしい。

この1週間はどこにいたかというと、写真の「ここ」にいたのだった。

ここはArts&Craftsさんの「セレクト型リノベーションシステムTOLA」のモデルルーム。昨年、ファーストモデルを大阪土佐堀でリリースされて、今回は大阪の谷町でセカンドをリリース。それにともない昨年同様イメージフォトを担当。撮影は3日間。およそ160シーン。オールフィルム撮影なので、総シャッター380回。今年最後の山場を完走してきた。一緒に走ってくれたのは、お馴染みの「みしんの子」一家。イメージモデルとしてご提案した一家の人物設定は「夫/大手ゲーム会社のゲームクリエーター、趣味バイク」「妻/アパレル販売員、趣味服づくり」(これはArts&Craftsさんが設定)。これをベースに、時間設定を「金曜日の夕方、夫の帰宅(ごはんはもう済ませている)〜夜、個々の趣味の時間〜次の朝、雨の土曜日、家ランチ」までとわたしから提案し、時系列に沿って撮り進めた。モデルルームには、Arts&Craftsさんセレクトのかっこいい什器をベースにたくさんの私物そして作品などを運び込み、彼らの家のように人と物を空間に馴染ませてもらった。お洒落夫婦はいつも通りやっぱりお洒落でかっこよかった。思わぬポージングまで飛び出し、現場を盛り上げてくれた。子のルノちゃん2歳も、終止ご機嫌に振る舞ってくれ、スタッフ全員から拍手喝采を浴びていた。みなクタクタのヨレヨレになりながらも、こうして一家の見事なパフォーマンスぶりに次への光を見たのだった。仕上がりは11月末。12月初旬からTOLAサイトでご覧いただける予定。

リノベーションにまつわる大阪の合間に、京都でのアトリエ撮影(『美術手帖』11月号/次号1月号担当中)など、いろいろ飛び回っていたここのところ。我が子のオムツもほとんど替えた覚えなし。夫と母と義母と、みなにどっぷり寄りかかっている今日この頃。誕生日は京都の仕事帰りに、母と初めての二人フレンチディナーをした。母独り占めが何だか嬉しかった。昨夜は380回のシャッター疲れを義母の按摩に助けられ、今ようやく文字が打てている。そんな33歳のはじまり。熱なし。咳なし。腰よし。体調ギリギリよし。グッバイ厄年。

Arts&Crafts(大阪京町堀にショールーム。リノベーションシステムのパイオニア的存在。HPや竣工写真も担当中。)
みしんの子(撮影当日の2日間のレポートも掲載してくれている。ありがとう。)
Days and Colors(平野愛が講師をつとめるKLASSEフォトワークショップ。第3弾は「春」。開催構想中。)

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この冬、Arts&Craftsさんでワークショップ

フィルムコンパクトカメラKLASSEのワークショップ『Days and Colors』の第2弾は来週11月23日。大阪・京町堀のリノベーション建築会社「Arts&Crafts」さんのショールームにて開催させていただく。あと1席ご予約可能に。お申し込みはこちらから。(※11/17追記/ご予約満席になりました。ありがとうございます。)

Arts&Craftsさんのお仕事は、中古マンションや中古戸建てを「いま」の住空間スタイルに作り替える提案から設計、施工までされるというもの。リノベーションのパイオニア的存在で、次々に新しい事に挑戦しつづけられている。興味津々、耳ダンボにしながら、ここ3年ほど念願の住空間撮影をさせていただいているのが、このわたし。

そして撮影現場にメインとは別によく首から下げていたのが、このカメラKLASSE Sだった。「それ昔のカメラですか?」「ちょっとのぞかせてください。」「懐かしい音ですねぇ。」と、お客様にもよく声をかけてもらったり。嬉しくなってついつい、話し過ぎたりして。だんだん調子に乗ってきて、ワークショップまでさせて頂くことになったのが、今回。

KLASSEならではの、染み染み染み込む光、やさしい音色、をぜひ。
Arts&Craftsさんのお洒落なショールームで、この冬、思わぬ1枚を。

Arts&Crafts(大阪西区京町堀1丁目。白いビルの1階。正面玄関の黄緑の壁がポイントです。)
Days and Colors(KLASSEは1人1台お貸し出し。写真現像はmogu camera。みなでその日に鑑賞します。)

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ワークショップのその後で

1週間後ちょっと発熱。ブレーキかけてかけてと、己にいい聞かせる。2度目の入退院から丸5ケ月が経過。まだまだ突っ走れない。周りのみなの力を借りて、休養。そして週末、恐れ多くも念願のシルヴィ・ギエムの『ボレロ』を全身に浴びる。筋肉一本一本から奏でられる完璧なエネルギーとクリエイションの旋律。圧倒とか感動とかのレベルを越えて、しびれ涙が出た。

松山からはワークショップ時の作品をまとめたフォトブックが届いた。そして参加者のもじもじチームのお一人からあたたかいお手紙までも届いた。ありがとうの余韻がまだまだ覚めやらぬ。松山を思い出して仕方がない。

お宿もよかった。ビジネスホテルも普通のホテルもどこも1ケ月前から満室で(どうやらそれは広場で行われていた物産博の影響)、贅沢ながらも今までの出張で溜まりに溜まったポイントを駆使して、道後温泉界隈でキープした。『道後やや』というそのお宿は、すべてのタオルが今治タオル(いまばりたおる/愛媛県今治市、国内最大のタオル産地のブランド)。新しかった。

夫と2歳4ケ月の息子はいかに。ワークショップ前日は会場の愛媛県美術館の下見に同行。美術館スタッフの横でしっかりチェック。主催店の南海カメラ店主の宇都宮由美さんの事を「ママ」と息子は呼んで和んでいた。それから松山在住の大学からの友人一家のお宅へ寄り道訪問。5歳と3歳の元気ガールズに遊んでもらい、彼女達の父に抱っこされるも和やかな息子。みな和みのα波が出ていたからだろうか。いつもの場所見知り人見知り体質が落ち着いていた。ワークショップ当日はもちろん別行動。この日の息子は夫の肩の上でほとんどを過ごしていたようだ。やはり知らない人だらけの初めての場所ではほとんど地上には降りれない。午前中は、商店街、からくり時計、坊ちゃん列車、神社の大階段、道後公園、展望台、95%肩車。坂道アップダウンおかまいなし。疲れ果てた夫は息子と並んで2時間お宿で昼寝。午後はマクドで初ハッピーセット、路面電車で松山市駅、電車で瀬戸内海、95%肩車。最後はわたしの終了めがけて愛媛県美術館。息子にこにこ。夫どろどろ。夜は3人でワークショップお疲れさまの宴に参加させて頂く。19時から21時半まで、たくさんのおもてなしを厚かましくも一家で堪能し、息子とともに「ママ」との別れを惜しんでいた。同席してくださったウェブデザイナーさんと記録写真を撮り続けてくださったカメラマンさん、そして富士フィルムの担当さんまでもが最後まであったかかった。

松山滞在最終日の朝は、夫と交代交代で近くの温泉へ。息子は100%ややこしいので、トライもせず。お宿から徒歩5分の道後温泉に夫。3分の椿の湯にわたし。お宿のタオルシステムで、自分好みの今治タオルを9種類の中から選んで、下駄履いてからんころんと。早朝ともなると浸かっているのは、オール地元ばあさん。温泉パワーでみなツルツル。芯から温まった。毎日でも入りたい。お宿に戻り、大満足の朝食バイキング(今まで泊まった中でも最大級のラインナップ)を終えて、荷物を大幅に減らすために宅急便の手配。身軽になって、松山城へ。せっかく登るも、95%肩車に心折れて入り口付近でUターン。夫(高所恐怖症)と息子はケーブルカーで、わたしは並走するリフトに乗ってfather-sonシリーズの写真撮影。1回限りのチャンスにおおはしゃぎでタイミングを合わせた。

松山滞在のクライマックスは海辺のレストラン『ブエナビスタ』さんへ。友人一家に5年ほど前に連れて行ってもらった、お気に入りの場所。ウェブデザイナーさんが「アイスドックがやばいですよ。」(写真)と薦めてくれていたのがまた楽しみで、うきうきと電車を乗り継ぎ、梅津寺駅で下車。電車で寝てしまった息子を横に、アイスドックとナシゴレンを一気に頂く。秋なのに、夏のような光と空気。店主さんとの大阪と松山の街トークに花まで咲く。波の音と、潮の匂いと、暮れてゆく日。目覚めた息子はここでもまた、裸足で地上に舞い降りていた。

はじめてのワークショップ「Days and Colors」。はじめての家族旅行。
はじめてづくしの染み染みDaysは、こうして終わっていった。

ブエナビスタ(前には一面瀬戸内海。後ろには一直線にのびる線路。松山がまた好きになるお店。)
Days and Colors(平野愛が講師をつとめるフォトワークショップ。第2回は大阪京町堀のArts&Craftsさんショールームで11/23開催。お席残りわずか。)

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しっとり緑色の松山帰りより

コンパクトフィルムカメラKLASSEを使ったはじめてのワークショップ「Days and Colors」の松山から帰ってきた。轟音のプロペラ機に帰りも固まりながら、電気が消えるたびに泣きそうになる息子をなんとか落ち着かせ、這々の体で。そして息子を夫に丸投げして、わたし12時間爆睡。もぬけの殻。余韻覚めやらずあっと言う間に5日が経った。その間、ほぼ毎日一日1時間から2時間のペースで撮影仕事に出ながらも、年に一度の保育園「お弁当の日」が挟み込まれていて、これが山場だった。もぬけていられない。9時登園に間に合うように、7時に起きて(実際には緊張で5時くらいから目が醒めて布団の中で固まっていた)、炊きあがった白ご飯の上に味海苔で車の切り絵を描いているだけでいっぱいいっぱい。本当は絵本『ピンポンバス』のバスがよかったのにうまくできなくて、電車みたいになったりケーブルカーみたいになったり。だんだん嫌になってきて結局車で落ち着いたのだった。その日の連絡帳には先生から「車の絵を見てわたしが先に喜んでしまいました。愛情たっぷりだなぁと嬉しくなったんです。」などと書いてくださっていて、赤面。感動してしまうから駄目駄目。お弁当って、だから、なんだか恥ずかしい。

振り返れば、いまも松山のひとときが蘇ってくる。

雨上がりのあたたかい瀬戸内温暖気候の松山。しっとりとした色に染まる風景。場所は県庁などがある地域の中の愛媛県美術館。その中の一室、大人テイストの座席とスクリーン完備の研修室。マイクあり、プロジェクターあり、スクリーンあり、投影あり。当日は館前の広大な広場で松山の物産博が開催されていて、友近さんや嘉門達夫さんなどがゲストに。なんとも言えない大盛り上がりの(現地人曰く、松山人のほとんどがここに集まってる)そんな環境での朝10時から夕方5時までの染み染み(しみしみ)dayだった。

参加者のみなさんは愛媛県人の20代と30代。温暖気候そのもののような、温和でゆっくりとした時間の中にいるような方たちばかり。スタッフのみなのムードも心地よく、こちらの緊張もすぐに解けて、不思議な優しい袋に入ったような気分で進めていくことができた。撮影タイムは4名1チームで動いてもらうことになった。最初からドライブ入っているチーム、なかなか動きだせないもじもじチーム、汗をぷっぷとかきながらトライしているチーム、遠くまで行って全然見当たらないチーム、ゆっくり考えながら一カ所でがんばるチーム。どのチームも自然な個性が生まれていて、見ていてとにかく面白かった。左の写真の女の子がいたのは、そう、もじもじチーム。女の子3人と男の子1人。はじめて同士なのだから、とっても普通のこと。この石畳がなんだかいいよね、ちょっと立ってみて。ときっかけを提供すると、あっと言う間にみなテンションがあがり、撮る方も撮られる方も動きはじめていったのだった。そうして一人一本ずつ撮った写真は最後にプリントとなって、みなの手に。1枚1枚セレクトしては展示していく姿は真剣そのもの。インタビュー形式で一人一人にマイクを向けると、みな振り絞って語ってくれた。その過程に立ち会えたことが本当に嬉しい。自分も、はじめてカメラを持った17歳の頃に戻れたような。

今回のみなのプリントを約1時間半という驚異的なスピードで仕上げてくださったのが、主催者でもある南海カメラの宇都宮由美さん。高校生の息子さんを持つプリントウーマン。このワークショップに向けて、何度もColorsの調整をしてきたことでお互いの歩調はきっとすっきり合っていたんだろう。宇都宮さんのプリントは楽しく歌っていた。最後に握手をしたら、宇都宮さんの手は細く柔らかかった。この手で、この街のフィルム写真が少しでも多く、長く、残っていってほしい。そんなキモチが深々とこみ上げてきたのだった。

また戻ってきたい。一層好きになった松山に。

南海カメラ(この季節、お店にはなんとみかんが素敵に常備。主催してくださった皆様、お助けくださった皆様、KLASSEと出会ってみようと思ってくださった皆様、本当にありがとうございました。)
Days and Colors Vol.2(NEWサイトオープン。第2弾は2011年11月23日。大阪・京町堀のリノベーション建築会社Arts&Craftsさんとのコラボ企画。テーマは再びポートレイト。参加者募集中。)
FLAT-FIELD.NET(TOPイメージ更新)

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