窓ぎわトーク

右の上の”親知らず”を抜いてきました。

ついさっき、12:15の事。頑丈に15年ほど居座っていたものにサヨウナラするのだから、痛いし怖い。33歳にもなって痛い怖いを連発しながら、先生に押さえつけられ15分。最後は頭蓋骨までグイングイン揺れて、はい、グッドバイ。抜けた瞬間、先生と看護師さんと3人で拍手喝采。歯科で拍手。いいもんだった。いま口の中は麻酔が切れてるのか切れてないのかも分からないくらい、ぼんやり。もう3時間も経つのに。

ぼんやりしているけれど、これだけははっきりしている。
2012年11月。わたしたちの会社「写真とプリント社」が4周年を迎える。

設立当初は「フィルムとかプリントとか、時代の逆を行ってますけど、大丈夫?」とか「(いい意味で)アホですね〜。」なんて心配してもらったり面白がってもらったり、たくさんの方々に応援して頂きここまで来させてもらった。わたしとしては設立と同時に、妊娠と出産とそれからダイナミックに2回も入院したりと大騒ぎの4年間で、実は今がほんとにスタートの気分。今がやっと楽しくなってきた感じ。

待っててくれて、ありがとう。
この窓と、川と、白い空間と、そして二人。

いつも真ん中の席でコロリンと座っているのが、マツカワヨシヒロくん。夫。昨夜妻と子を置いて、今朝から長野の根子岳に登山している。そして、いつもシュっと機械の前に立っているのが、オグラユウジくん。夫より長いお付き合い17年。スーパープリントマンで、孤高の写真家。毎朝の日課が散歩と多肉植物のお手入れ。そんな二人とは、日常の趣味が全然合わないのがわたし。だけども、写真と仕事のスタンスは空気のように共有できる。なんか変な感じだけども、そんな感じ。

そんな感じのわたしたち、4周年を記念して、トークイベント『窓ぎわトーク』を11月24日の夜7時から開催します。普段はなかなかお話できないような、写真の仕事の裏側から日々の写真との付き合い方、窓ぎわで”きわきわ”までお話します。コロリンのマツカワヨシヒロくんはこの日のお昼間から、珈琲をふんわりドリップします。くじ引きもあるみたい。

■2nd Window 窓ぎわトーク〜Work, Life, Photo〜
2012年11月24日(土)19:00-
@写真とプリント社(大阪市西区土佐堀2丁目1-2西村ビル3F)
出演:小倉優司×平野愛
入場:無料 定員:15名 予約制(CONTACTよりお申し込みください)
※11/12 満席となりました。ありがとうございます。

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この日この時の肖像画を

10月28日。日曜日の松山。曇り時々雨のち晴れ。

伊丹空港から今年もあのプロペラ機に乗って行ってきました。
KLASSEポートレイトワークショップ Days and Colors @愛媛県立美術館vol.2 へ。
KLASSEとは、FUJIFILME製の高級コンパクトフィルムカメラ。デジタル満載のこの時代に、現行で生産されている唯一のコンパクトフィルムカメラ。わたしはこのカメラと4年前に出会えたから、日々が撮れるようになって、こうしてblogをはじめることができて、暮らしが変わった。ただそれだけなのだけれど、そこから何かを伝えたかった。そんな想いを感じ取ってくださった松山の写真店「南海カメラ」さんが今年もまた呼び寄せてくださった。

昨年は子と夫と一緒(ワークショップ中は別行動)だったのだけれど、今年は子(3歳)と一緒に飛行機乗ることだけでもハードボイルド過ぎるので、一人旅とさせて頂いた。おかげで前日入りの夜は南海カメラ店主のユミさんと、縁あって再会できた学生時代の友人で地元住民の絵描きの彼と食事会。新鮮な瀬戸内の魚介類をたくさん頂き、さらにはわたしのリクエストで美味しい珈琲のあるお店「カフェ ニュー クラシック」にも連れて行ってもらい大人のひとときを。絵描きの彼の変わらぬ柔らかい物腰と的確な一言一言にも力をもらう。家のことなどすっかり忘れて、松山の空気感を身体いっぱいに準備させてもらうことができた。(という最後の最後で携帯に着信。深夜まで起きて踏ん張っている子からまさかの「帰ってきて」コール。「帰れないよ。飛行機飛んでないよ。朝になったら写真の先生して、夜になったら飛行機乗って帰るからね。」×5。)

参加者の中にはウチよりも小さなお子さんを預けてここまで来てくださったり、遠く高知から車を走らせ来てくださったり、5歳の娘さんの写真を撮りたいからとお父さんが来てくださったり。いろんな方がいろんな毎日を抱えて、それでもここに何かを得に来てくださっているという事。「もうそれだけで、OK。もうここへ到着できているだけで、大丈夫。”写真”はちゃんとはじまっています。」という言葉からワークショップをスタートした。

今年はとにかく、瀬戸内海の穏やかなイメージでゆっくりゆっくり話すこと。見せること。を意識した。そしたらなんともあたたかい参加者のみなさんの眼差しに包まれてる気持ちになった。そしたらなんだか感動してきて、作例写真を見てもらううちに涙が出てきてしまったのだった。我慢したけど、我慢できなかった。その写真はこの前、この日のために撮り下ろした親子の写真。お母さんと娘。毎日毎日ふたりが通い続けている公園。その公園でふたりの肖像画を撮りたかった。どんな風に撮ろうか、公園全体を撮った写真からじわっと寄っていく写真。そうか、これだ。と、 最後に撮った写真はお母さんと娘のすり切れた膝小僧の写真だった。毎日毎日連れて、遊んで、ころんで、膝ついて、布で補強して、そうして今日もまたあの公園に。親子の積み重なる毎日が、楽しい時もあれば辛い時もある毎日が、この日この時、みなに見てもらえることで想い描いていた肖像画になった気がしたのだった。

参加者のみなさん、目が点になっていたに違いない。
でもでもきっと優しい優しい、点。
だからかな、みなの撮るポートレイトの良かったこと!
KLASSEと人と、その場の光をみな、色とりどりに自分のものにできていた。

大丈夫、もうみんないつだって、撮れるはず。

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ただいまワークショップ準備中

先の金曜日、ようやく1ケ月続いた仕事がひと段落。保育園の送り迎えも全部放り投げて、朝から夕方までノンストップで前クールの月9を見てやった。6話から最終話の11回まで。久しぶりにストレートなトレンディドラマに、気分爽快。土曜日は子どもを脇に抱えてひとっ走り仕事。写真を待ち構えていてくださる編集さんやデザイナーさんの顔を思い浮かべながら、東京と大阪とあちこちに写真を飛ばす。”ITの中心にはいつだって人がいる”。

今日は久しぶりに家族揃った日曜日。ご近所のカフェwatteさん(西区靭本町2丁目)に頂いたお気に入りのTシャツを着て、中之島の科学館へ。大人400円で宇宙の仕組みから家電の歴史まで、あらゆる角度で科学を教えてくれる、理数系には嬉しい博物館。文系のわたしにはまあまあな空間で、ワンフロアですでに子どもより先に帰りたいモードに入る。夫には「(お向かいの)grafさん(今月末でいまのビルから移転される)にでも行ってきたら?。」と思ってたそのままを言われるも、耐える。30°の鏡の世界で踊る息子に、久しぶりに腹をよじらせながら大笑い。気づけば3組ほどのカップル達からも笑い声と黄色い声。耐えておいて、よかった。

さて、松山行きがあと二週間に迫ってきた。
今年も南海カメラさんに呼んで頂いた「KLASSE ポートレイトワークショップ」で講師を務めさせて頂くことに。KLASSEとは、このブログのgoodbye写真を撮っているフィルムコンパクトカメラ。愛用中のこのカメラとフィルムPRO400のコンビでワークショップを、今月28日に愛媛県美術館で開催する。いまは、その時に見てもらうスライド用の作例写真を撮り下ろし中。その様子はわたしに代わって、モデルを務めてくれたみしんの子さんがこちらでレポートしてくれている。ストーリーのある優しいポートレイトが、撮れてますように。※まだ少しお席が空いています。ぜひ飛行機で道後温泉とセットで秋の松山まで。

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メモリ128MB

狭い容量の中、マックス使い切る勢いで走り続けて、いつの間にか秋。
夫の2Gくらいあるらしい容量を外付けハードとして追加してもいっぱいいっぱい。充実のハードワーク。ギリギリ後まわしの子育てライフで保育園に到着するころにはちょっと気を失いかけている。そんな時はまわりのお母さん達にがっちり助けてもらい、三歳の我が子にはわたしの眉間のしわを引っ張りながら「あかんで、心配なるし。」と言われつつ、今日もご機嫌に。

この冬出版予定の団地にまつわる本に携わったり、発行部数20万部というアパレルブランドのマガジンに携わったり、これには奇跡みたいな編集チームに参加できたり、大阪福島の風景を見つめたり、セレクト型リノベーションシステムの新しいモデルイメージ撮影をしたり、保育園のイメージポストカード作りをしたり、次に待ち受ける住まいのイメージ撮影への勉強をしたり、10/28に今年も呼んで頂いた愛媛県松山市での写真ワークショップ準備をしたり。こんなふうに同時にたくさんのプロジェクトが進行中。

頭と心を切り替えながら、背中には10粒ほどのピップエレキバンを貼りながら、完走したい。メモリ増強したい。

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watteのあつあつドリア

来るべき40代のために、後6年どう暮らすか。
考え続けていた夏でした。

本を読むように、この8月はたくさんの人に会って、言葉を拾い集めて。

8月頭は学生時代お世話になった写真家・鈴鹿好康先生の「最終講義」へ。同時に京都の写真の先輩たちから浴びるように”今”を聞く。
8月半ばは『いいビルの写真集』(ピエブックス刊)の出版トークイベントに滑り込み(落雷で2時間電車に缶詰。一番前で正座して聞きにいくつもりで一番に予約して一番最後に入場)、写真家・西岡潔さんの言葉に寄り添った。
8月の終わりは『京都の中華』(京阪神エルマガジン社刊)の筆者・姜尚美さんと京都のFOIL GALLERYへ。写真家・長野陽一さんの写真展『BREATHLESS』のトークイベント。写真と言葉と東京と京都。新鮮なデータが身体中にインプットされていく。

長い夏だった。

その間。ずっと見続けていたのがここ”ALL DAY LUNCH & CAFE”『watte(ワッテ)』さん。9月1日オープンしたばかりのご近所さん。 オーナーは自宅一階をお店に改装し、女の子と男の子の2児の子育て真っ最中の30代お母ちゃん。保育園からの帰り道、ちらっと寄っては彼女の汗と涙を拭きに行っていたこの夏。工事現場からオープンへの道のり。一人の女性が、一人のお母ちゃんが、一つの夢を叶える瞬間に立ち会えたことは、何にも代え難い経験だった。

看板メニューの中から最初に頂いたのはトマトとモツァレラチーズのドリア。無添加にこだわってつくられたソースが、お米とチーズと仲良く手を繋いでいる。そんな感じのお味だった。彼女の味がもうそこにできていた。靭公園の1本裏側の道に、アットホームなお食事部屋と小さな紫の看板が見えたら、それが『watte』さん。

大阪暮らしがますます染み込んできた今日この頃。

watte(ワッテ)
大阪市西区靱本町2丁目5-8
open10:30-16:30(l.o 16:00)/close水日祝

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深呼吸

くったくたでございます。

ありがたきことに毎日撮影撮影。
団地の本作りに参戦中。
春に撮影した団地座談会もアグレッシブでよかった。
休憩と休憩の間に撮影撮影。
ガーっと行って、バンってなるからね。
あぶないあぶない、それでもまたガンガン走っているよ。
止まって止まってと声をかけてもらいながら、なんとか深呼吸。

あぁ、深呼吸ってめんどくさい。

ここは団地の中の集会所。
いるひとみんな汗まみれの。
汗が一周して乾燥すると、Tシャツは元にもどるのだね。
壁作り床作り棚作りを見つめながら、これからの暮らしを考える。

ワークとライフのバランス。あぁ、難しい!保育園のお迎えに走る自転車の上で、泣きそうになる。しんどいを20回くらい垂れ流していたな。こんな時、前ならすぐに夫や母に電話してヘルプサイン出してたな。でも出してないな。あ、日曜日は夫も仕事で、丸一日母に来てもらっていたな。今日はどうかな。大丈夫かな。

今日明日、夫は東京。わたしはいまから京都の丹波橋。作家さんのアトリエ撮影。鼻息ブンブンで行くよ。そうして、きっとまた夕方自転車の上でいろいろ垂れ流すよ。

いってきます。

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森の家へ

保育園のプールに入れるまでに3週間。お絵描きも紙粘土も手を出せるまで1週間。お久しぶりのお友達の家でお友達に慣れるまで1時間。何かと牛歩の我が子を連れての日々は、今日もアクティブに続いている。抱っこから地上へも定着してきたし、牛歩かと思いきや、時々ハヤブサのフェイントも挟み込んでくる3歳1ケ月の陽気な夏。

これは少し前のある日のお話。そんなわたしたちの色味をよくよく知ってくれているみしんの子さんが、満を持して連れ出してくれたのが、ここ。大阪西区の向こうの方にある、ひとつのお家だった。たくさんの植物が、茶色の一軒家の内と外をあらゆる角度から包み込む。乾いた植物も湿った植物も、花のあるものもないものも、それらはいろんな命を持って。まるで森の中。時々射し込む光は、木漏れ日のよう。

森の家の主は、先日”森の中の誕生日会”ではじめて出会ったneccoさん。美容事にもう15年ほど携わりながら、6歳と3歳の姉弟の育児とさらにはバックや洋服などの手仕事までを全力で駆け巡るお母さん。夕食作りはあっと言う間で、テーブルは野菜のお料理で埋め尽くされ、絶え間なくソーダにお茶に珈琲がサーブされ、おやつは手づくりのパン、お風呂遊びに花火までさくさくと。そのおもてなしの技の多さ、そのパワフルさに初めは熱吹き出るほどに圧倒されて(本当に熱出た)、心臓がドキドキ。森の家の中で育った姉弟の、野性味あふれる動きにも、目が点に(写真左が 森の家の可愛いい男の子。パンツ…)。

仕事と、家事と、子育てと。それに加えて手仕事と。
そうした暮らし作りへのはエネルギーは一体どこから湧き出てくるの?

と、台所で自家製の梅ジュースを入れてくれている彼女に思わず聞いてみた。しかし彼女はフフフと笑いながら森の中に隠れてしまうように、「そうでもないよ。」と言うだけだった。そんな彼女の後ろ姿。その肩にはサロンパス2枚が寝転んでいた。森の中の素敵な主の肩にベージュ色のサロンパス2枚が、ハの時で並んでいるのである。最高に魅力的。お洒落でかっこよくて素敵で、それでいてちょっと泣ける部分がこぼれ落ちているんだから。

森の家の姉弟もまた、そんな魅力をたっぷり染み込ませている。野性味溢れる勢いの中に、時折見せてくれる繊細な心の動き。何かと時間のかかる息子の横に、何も言わずそっと横に居てくれる弟くん。大切な木のおもちゃをじっくり触らせてくれるねぇねちゃん。子どもが子どもを待っていてくれる。 なんと幸せな風景。森の家に集まった子どもたちは、そうしていつの間にか互いに安心感を得て馴染んでいくものがあった。その時、家の木々が動いたようにさえ思えたのだった。

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大人のかき氷

8日間の夏休みに入った。

先週はここ一番の大きなコンペなどを経て、今は気が抜け切っている。とはいえ、休み明けからは、この冬出版予定の本の撮影担当がスタート。それに向けて、カメラ機材の調整に入ったりしている。これがまた大変。現在のメインカメラの1つはCONTAX RTS IIIというフィルムカメラなのだけれど、これがちょっとだけ使いにくい部分がある。それを昔なら別の部品で一発で解決するところ、現在その部品ひとつ手に入れるのが極めて難しいことになっている。それはもう、もだえるくらい。悩み苦しんだ末に、その部品が入った状態の同じボディをもう一台買うことに決めた。 もちろん中古(メーカーの京セラは2005年9月で撤退)。

中古で、はいどうぞ、というほどすぐによいものがあるわけではないのがまた苦しいところなのだけれど、これがどうも運良く「大林カメラ」(大阪第 一ビル1F)で出会うことになった。この日は、レンズの修理(10数年使い続けてきたカールツァイスプラナー50mmF1.4に、めったにない内部でのくもりが発生したため…)に大急ぎで阪神百貨店8F「カメラ修理コーナー(江守商店)」に駆け込んだ日だった。江守さんの丁寧な説明を聞きながら、その修理代金1万2千円と修理期間2週間、そして何より”くもりが晴れる”か開けてみないと分からないとの事にクラっと来た。間に合わない。レンズももう1本買うしかない。修理は修理でお願いすることにし、その足で「大林カメラ」へと向かった。向いながら、江守さんのワイシャツがピシっとしていたのが、さすが百貨店とキモチの良いものを感じた事を思い返していた。

カメラ店に到着するとショーウィンドウにはわたしを待っていてくれたかのように、思っていたRTSがピシっと飾られていた。目の合った白髪紳士な店員さんに声をかけて、そのRTSと裏から出してきてもらったこれまた美しいプラナー50mmレンズを5分で即決。そのスピードには白髪紳士はクールにビビっていたに違いない。最後の最後で名刺を渡された。「10年前までわたしはCONTAXユーザーでした。いいカメラです。どうぞ長く使ってください。」 と。

10年前とはすなわちデジタル移行期。白髪紳士はその時、車1台買えるほどのCONTAXコレクションをすべて手放したそうだ。

ずっしりと重いカメラとレンズをリュックサックに入れると、急に身体中が熱くなり、喉はカラカラになった。

そうして駆け込んだのがご近所再びのcocoo cafeさん。それが、これ。「ティエスプレッソかき氷(ミルクかけ)」(650円)。注文して食べること自体、20年ぶり。 氷とかアイスクリームにあまり惹かれてこなかったのは、冷たいから。いやいやしかし、ここのかき氷は間違いなかった。手回しのかき氷機で作るかき氷。冷たいけど、冷たくない。痛くない。優しくて、柔らかかった。

フィルムカメラ、まだまだいける。
修理してくれる人も、売ってくれる人も、まだまだいてくれる。
仕事場では、1枚1枚焼いてくれる人が、力強くいてくれる。
人の手をいっぱいいっぱい通過した写真を、尽き果てるまで頑張りたい。
氷の山をつつきながら、そう思ったのだった。

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AUTTAAのタップシューズ

東京で革小物の制作を続けておられるAUTTAA(アウッタ)のおふたりが大阪に。

「甘くない手づくり品」というイカしたコンセプトに2010年から惹き付けられ、ついに念願の靴をオーダーさせてもらった。AUTTAAの定番シューズから新作までどれも見応えたっぷりの中、選んだのは「KUDO(クーズー)」という野生動物の革を使ったタップシューズ。野生というだけあって、傷や風合いもまちまち。その荒々しい強さに少し怖さを感じつつも、AUTTAAさんの絶妙なデザインセンスで、なんともいえない安定と繊細を得る不思議な靴。サイズ38のベージュ。仕上がりはこの秋、11月。嬉しい。

今回の大阪での展示は阿倍野の「dora(ドラ)」さんという、レトロなビルをリフォームされたショップ・ギャラリー・工房。下町の中にある異空間。AUTTAAの世界観がうまくいかされたかっこいい受注展示会だった。靴だけでなく、革バックやデジカメケース、人気のエンベロープケース(靴と合わせて、イエローのケースをひとつ持つことに)なども。大阪での展示は本日8月10日(金)まで。ひきつづき東京と北海道へと巡られる。

今年の秋冬はこの靴を履いて、荒々しく走り去ってみたい。誰かの前を。

※写真は許可を得て撮影させて頂きました。

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三輪車の周辺と近況

住居の1階をカフェに改装中のご近所さんを覗き込んでいたら、三輪車を頂いた。その日以降、夕暮れ時は三輪車一色となった。

保育園から帰ってからの1時間が黄金の三輪タイム。
まだうまく漕げないため、後ろのバーで操作してやりながらの散走。
郵便ポスト、電話ボックス、ネジのショーウィンドウ。
停車ポイントも決まり出す。
この蒸し暑い最中、頭には自らすすんでヘルメットをかぶる男。それには映画監督のスタンリー・キューブリックを思い出してしかたない。『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』を産み出したキューブリックは、自家用車のポルシェに乗る時、アメフトのヘルメットをかぶって運転するという伝説がある。いつかどこかで見た映像と、今がクロスする。

夕暮れ時とはいえ、やはり暑いのである。お互いに。そうしてこのところわたしも子も順に発熱していた。39℃を一瞬通過して、1日2日で回復。わたしは約1年ぶりの高熱で、ドキリとしたけれど、体力と免疫力の復活を実感することにもなった。2回目の入退院以降、周囲のサポートと病院の定期的なサポートを得て、確実に身体が整ってきている。投薬もなくなり、辛い副作用や後遺症もほぼなくなった。有り難き幸せ。とはいえ、まだまだ油断大敵。今日は秋からのワークショップの会議。明日はコンペ。水分と”ほどほど”で、この夏を乗り越えたい。

ヘルメットの3歳児は、日に日に個が際立ってきているのが今日この頃。

3週間前に始まった園でのプールには、「昨日」初めて入水。それまで頑なに、服のまま靴をかかえて、少し離れたところから全体を眺め続けていたらしい。ベテラン保育士さんも唸る手強さ。桶に足を浸けてみたり、ペットボトルで植物に水をやってみたり、ゼリーカップで水をすくってみたり。家では湯船に10cmくらい水を入れてみたり、お湯を入れてみたり、プールバックには車のシールを貼ってみたり、水着に名前の「た」を縫い付けてみたり、お友達の家ではビニールプールを出してもらったりと、まさに試行錯誤していた。それでも入らなかった。そんな中、誰も期待していなかった昨日、突然自ら水着に着替え、大きなプールの中でワニ歩きをしたというのだ。何があったんだろうか。それは先生さえも、分からなかったようだ。何だか分からないけれど、何かが吹っ切れたんだろうと、先生はその喜びをデジタルカメラに記録してくださっていた。先生の写真はちょっと震えていたのだった。いい写真だった。

この弱々しい小さな時代に、じっと待ってくれる、守ってくれる大人たちに囲まれること。ささやかな集団行動の中にも、そっと余白の部分があること。それらを感じ受け止めることで、人は人を信じて、自分を信じて、前に進んでいくことができるんだろう。

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