写真家の西岡潔さんに電話した

悔しい!!

ビルばっかりのダイナミックな写真書籍『いいビルの写真集WEST』(BMC著)が7月20日にピエ・ブックスから発売された。
これを一冊まるまる撮影担当されたのが、写真家の西岡潔さん。
大阪から東京へと居を移されているにも関わらず、関西のビル独り占め!何て事なの!何て根気なの!何て濃いの!何て上手なの!

夜8時、暑苦しくも電話させてもらった。
横では息子が水をひっくり返すわ、落ちてたレゴを踏んで泣き出すわでややこしい最中の贅沢な20分間。

西岡さんはあのLmagazinやMeetsで「フロム聖地」という連載写真を、4年間も踏ん張られて、なおかついまも踏ん張られているすごい方。

聖地だろうが、人だろうが、ビルだろうが、「場」に対しての向き合い方、感じ方、捉え方が一環している。クレジットを見なくても、「あ、西岡さんがいる。」と思える写真を数多くたたき出してこられているその姿勢には、木の影からいつも凝視してしまうものがある。

ここまでストイックにビルばかり見てこられて、どんなキモチだったのか?
そう投げかけると、西岡さんはさらりと「楽しかった。」と。執筆者でかつ撮影時のナビゲーターの高岡さんの詳し過ぎるビル解説を聞きながらの撮影 は、確かにイメージするだけでも興奮する。このタイルは何年代のものだとか、このガラスはどうだとか、マニアじゃなくてもこうなったら知りたくな るし、見えないものまで見たくなる。

そう、西岡さんの写真と、ビルをこよなく愛する熱き執筆者5名がそんなビルに隠れている見えないものを見せてくれる。図鑑のような1冊。

8/18(土)は肥後橋のBookshop and cafe Caloさんで、トークショウも予定されているそうだ。最前列で正座して、ビルへの愛について聞きにいきたいと思う。

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海の家へ

マンゴー騒動をそれなりにスッキリさせて帰ってきたら、海生活を満喫させたみしんの子さん一家も帰って来ていた。

ご機嫌な一家の住まいは、海の家そのもの。海の空気そのままに、はち切れんばかりのトロピカルフルーツを山盛り持って帰ってきてくれた。

ご近所のnecooちゃん親子とシャネルのあやちゃん親子と一緒に、海の家にお呼ばれ(写真左からレンちゃん(6)、コギクちゃん(3)、モっちゃん(3)、ルノちゃん(3)、フレームアウトしてこちら側に息子(3))。子どもたちの中にはここをまさに海だと感じてか、すっ裸で登場してくる場面も。母たちは妖精でも見るかのように、その登場っぷりにギョっとしながら腹をかかえて笑い転げていた。その傍らで我が子は、素麺とフルーツ片手に初めて見る妖精たちにまたもや固まりきっていた。

海の家からの帰り際。みしんの子さんはわたしに美しいマンゴーをひとつ、新聞紙に包んで持たせてくれた。

次の朝、切ったマンゴーを持って「一緒に食べよう。」と夫を誘った。すると、「ありがとう。二人で食べて。」と遠慮と反省の塊となっていた。「いいよ。食べよ。」と言うもその意思固く、わたしは「そうか。ありがとう。」と言ってそのまま幸せな海辺の気持ちへと入っていった。

我が家、これにて騒動終了。

マンゴーを食べ終わった子をふと見ると、何やらごそごそと服やパンツを脱ぎ出して、海の妖精と化していた。

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家出

家出してた。

それもダサいことに、普通に「行ってくるわ。」と言ってから。しかも、家出先の京都の実家には半月前から「夕方京都入りします。一泊します。」と連絡済み。つまり、前々からこの日は決まってた。なんというタイミングの良さというか、悪さ。

予定通り子どものリクエストに応えてサンダーバードに飛び乗り、翌朝は市バスにまたも飛び乗り京都市動物園へ。実家の父母は仕事で不在。母子で平日の動物園というのが、”訳あり感”満載でそれだけが妙に満足だった。

園内では300円のレンタルカートを押さされ、ひとつひとつ着いたら降りての繰り返し。着いたら着いたで、キリンはグタっとしてるし、ライオンは寝てるし、ペンギンは臭いし、ロバも臭い。「ふれあい時間」というコーナーにたまたま居合わせれば、あれよあれよという間に飼育員さんに誘導され、気づけばエプロンして「てんじくねずみ」を抱いていた。いや、抱かされていた。気持ち悪くて放り投げたい。だけどそんな事したら親として悪だし、大人として悪だし。さらには、“訳あり母子”をどうにか元気付けようとする飼育員さんたちが優しい声で「命がありますよ。生きてますよ。あったかいですね。」と語りかけてくださるし。なんだかもう、色々ひっくるめて泣きたくなった。怒りに満ちていたマンゴー事件から、放り投げたいネズミまで。気づけば、飼育員さんの愛が本物過ぎて感動してきて、写真まで撮ってもらってた。子は横で、固まっていたけれど。

クライマックスには、「ニシゴリラ」がこっちを向いて座っていた。何もかも吹っ切れてしまうくらいの迫力。子はゴリラに向かって必死に自分の胸をたたいて「これして〜。」とガラス越しに要望。それをまぁ、見事にシラ〜〜っと見返してくるゴリラに感無量。

小さな檻の中で、いろいろ言いたいこともあろうに。しかしまぁそれなりに幸せなんだろう動物たちを見て、すっかり気分も上がり、最後は200円で回ってくれる小さな汽車に付き合ってやった。

ダサい家出だったけど、楽しかった。
ネズミもゴリラもみんな生きていた。

帰ろうか。

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マンゴー事件

夫婦の危機、勃発。

仕事で不在にしていた週末のこと。青い海の向こうから、みしんの子さんが送ってくれたフルーツセットが届いていたようなのだけど、残っていたのは、なんとなんと新聞一枚!

こどもと一緒にまるごと実家に持って帰って食べたという。わたしが不在の間に腐ったらアカンしと思ったのだという。マンゴーにパイナップル。南国ものはしばらく持つのに!不在って一日だけじゃないか!これだけは他のフルーツとは意味が違うんだ!一体全体何がそうさせたのか!腹の底からの怒りと苦しみと悔しさで憤死寸前。いやもう、寝ても起きても怒りしかない。その天然行動にはもはや当たりようもないため、ひたすら布団やらタオルを壁に投げて当たり散らしていた。

疲れた。

そして、思わずGoogleで「憤死」ってあるのか調べた。ある。洒落にならない。家出してやる。

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今夜エスプレッソティーラテ

夜7時半。靭公園を眺望できる4Fのコクウカフェさんにて。

今夜は保育園のお友達と3歳の思い出をまた1つ。

お迎えの時間がだいたい一緒で、かつ、子ども同士が”ミニカー好き”というところで波長の合うお友達。近くでサクっとうどんをすすって帰るつもりだったのだけど、何だかどうしてもここの「エスプレッソティーラテのアイス」(500円)が飲みたくなって、思い切って誘ってみたのだった。

子ども達にとってはもう遅い時間だし、迷ったのだけど、母時間にちょっと付き合ってもらうことに。二人はニコニコしながら事あるごとに抱擁し合っていて、こんな風景は初めてで、母達はちょっと涙しかけながらほころんでいた。きっとこちらがリラックスしていたんだろう。子ども達はそんな雰囲気をちゃんと感じている。

滞在時間30分。もう帰ろうと思ったと同時に「バス」の取り合いで二人とも大泣きとなり、お客さんも一人おられたので、マッハで退散。こういう時はバカチカラが出て、子どもを担ぎ上げていた。そんなこんなもよい思い出。街のそこに、あたたかく入らせてくれるカフェがあってよかった。

さあ、明日は朝一から京都で撮影。脇汗に気をつけながら若者達と向き合いたい。

そう、脇汗といえば有働アナ。NHKの「あさイチ」のメインキャスター。有働さんの汗が大変な事になっていると一時、話題になった。しかし凛とした態度で有働さんはそれについて「不快に感じる視聴者には申し訳ない」としながらも「仕方ない」と言い放っていた事件である。あれ以来、いやあれ以前からわたしも気になっていたが、同じく体を張りながら働く女性として”愛しさと切なさと心強さ”を感じたものである。最近の有働さんも相変わらずではあるが、長めのVTRの後、きれいさっぱり乾いていることが多い。それを見るたび、あぁ、誰かが裏でドライヤーしているのだな。と、現場のキモチを想像しては、抱きしめたくなる。

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森の中のお誕生日会

6月中旬のこと。

手仕事をルルルと楽しむご近所のみんなの中に、急遽呼んでもらった合同誕生日
会。その時にみんなからもらった、ほかほかのプレゼント。前夜行くことが決まったというのに、こんなにもしてくれるなんて! 誕生日の朝、もういちど並べて写真を撮っていたら、子が起きてきては、寄ってきた。楽しくて嬉しくて、こんな会は初めてで、何度見てもほころんでしまう。

小さな木をちょちょちょと積み上げて「いえ」。
石と石、それに木を渡して「はし」。
これをくれたのは初めましてなのに10年前から知ってるようなneccoちゃんという可愛い二児の母。「これはね、どんぐりのお家なの。」と虹色にそめられた毛糸のネックレス、丁寧に編まれたかごバック、6歳のねえねちゃんが描いてくれた鳥の絵を添えて。(blog

キラキラ光る、ブルーのビーズの輪っか。これは昨年秋にカメラウーマンのため
のメイクレッスンをしてくれた、シャネルのあやちゃんから。はじめてのビーズに、ときめきを隠せない息子は、腕につけて光を見ていた。

こんな森の中の会のような雰囲気に誘い出してくれたのは、やっぱりみしんの子さん。「フリマで見つけた生地で作ったよ。」と現代とは思えない絵柄のランニングと、毛糸で編んださくらんぼ、似顔絵のお手紙を添えて。(blog

この染み染み感がたまらない。

着の身着のまま何も持っていけなかったわたしは、こんど、森の中の写真屋さんとなって、みんなの姿を一直線に残させてもらうお約束をしてきた。木も石も鳥もどんぐりもさくらんぼも糸も、虹も光も。白いスタジオにいっぱいイメージして。

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センチメンタルよサヨウナラ

6月23日。3年目を迎えた。
あの日。センチメンタルの大爆発(出産)の日から。

予定日を10日ほど過ぎたあの日。もう4-5分間隔でどんどんやって来ているというのに、自分の身体から出ていくことがどうしても信じられなかった。受け止められなかった。到着した駐車場では「行くの嫌。」としゃがみこんで泣いては夫に引きずられる様に中に入ったし、台の上では「わたし、産むんですか?」と先生に聞いていた。「あなたが産まないで誰が産むの?」と笑いながら怒られた声がいまだに忘れられない。そうよ、忘れられないわよ、あんな大爆発。

10ケ月近くお腹の中でうごめいていた物体とようやく一体化したというような瞬間に、なぜ離されなければならないの。という感覚。会えたという喜びよりも、寂しさと空虚感と喪失感の方が大きかった。病室のカーテンが風でなびくだけでも、涙して。横で動いている赤子を見るだけで、涙して。お腹の凹みに、涙して。変わってしまった自分。変わらなければならない自分。変わってしまう自分と現実への不安。センチメンタルが次から次へと止めどなく押し寄せてくる日々だった。

「母、強し」なんて期待はずれ。どんどん弱くなっていく。ややこしい自分がめんどくさい。一体全体なんなのよ。約2年半くらいは、そんな思いと隣り合わせだった。(いや、もちろん今も時々そうなんだけれども。)そうしていく中で、2年と10ケ月を過ぎたあたりから、そうそう、2週間のロングバケーションのあたりから、もうそろそろ今を生きようよと思えるようになった。子の成長、会話、コミュニケーション、家族、友人達との優しい時間の積み重ね。センチメンタルよサヨウナラと。ようやく色んなものが追いついてきたのが、本当に昨日今日のお話なのだ。

ちょうど昨日、美術作家の安田辰雄さんから届いたDM。
わたしに向けてそっとこんな一文が添えられていた。

— 守るべき人ができますと、
ただ生きているだけではすまなくなります。

ああそうか、今欲しかった言葉はこれだったんだ。
久しぶりにあの日とは違う涙が出たのだった。

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谷町の「TOLA」オープンハウス

写真を担当しているセレクト型リノベーション「TOLA」のモデルルームが販売へ。
オープンハウス(見学会)は6/17までの開催だった。
かわいい傘くるくるモデルは「みしんの子」さんとこのルノちゃん。

このお洒落なDMはデザイナーさんが6月開催にちなんで、傘の形に合わせて作られたもの。大阪市内の至るところでポスティングもされたようで、見学も盛況だった模様。

写真という部門で、誰かの未来のためへのお手伝いができたなら、本当に嬉しい
こと。

TOLA以外にも面白い賃貸から分譲まで取り扱っている「大阪R不動産」で、ぜひ
暮らしのイメージを膨らませてみてほしい。

我が家はかれこれ6年ほど賃貸生活。その間引っ越しもせず、大阪市の新婚家賃補助も受けながら、少し高めの家賃もなんとか乗り越え暮らしてきた。 結婚したらちょっと”京都ではない所”に住んでみようと思った大きなきっかけはこの家賃補助があったから。地元の京都にはそういう補助は当時なかったから(一部「とく・ゆう・ちん」というのが当時も今もあるけれど)。それも橋下体制でこの4月に新規募集は停止に。我々への支給もこの7月までしか保証されず(最大6年なのでもうほとんど頂いているのだけれど)。

家のこと、暮らしのこと、未来のこと、自分のためにも少し考えはじめている今
日この頃です。

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水出し玉露のあるテーブル

住まいの撮影にうかがうと、毎回毎回新鮮なエナジーを吸収させてもらう。そこに宿る住人の魂というか、哲学というか、そういうものを全身に取り込みながら1枚1枚フィルムに残させてもらうことは、わたしの大切な仕事の1つ。

この日うかがったお家には、その方の哲学が端から端まで満ち満ちていて、それはそれはすごかった。それは例えば、玄関に入るまでにすでにほのかに香るお香だとか、計算された収納の佇まいだとか、絶妙なバランスで保たれている、北欧と中華と和のテイストだとか。普段の撮影(1.5h)では途中で休憩は挟まないのだけれど、あまりの濃さに思わず「すみません、お水ください。」とお願いしてしまったほど。

すると、するりと出てきたのが「水出し玉露」。一晩寝かせて作っておいてくださったというお茶だった。その味わいといったらもう、これぞ「和装の似合う大人」 という感じ。自分の青さにまで気づかされてしまいそうな、ドキリとするお味だった。

その一杯のお茶のおかげで、なんとか集中力を維持して3時間半の撮影を完走することができた。2LDKの長旅。九州新幹線に乗ったとすると、新大阪から熊本まで。長く遠く、どっぷり疲れての下車だった。

このお家のリノベーションを手がけられたのは京町堀のアートアンドクラフトさん。
車窓から見えた風景は、いつかまたご紹介したい。
いつかまた、あの水出し玉露をドキリとしながら頂きたい。

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姜尚美さんへの電子メール

5月15日、『京都の中華』という本が発売された。
著者は『あんこの本』と同じ姜尚美さん。
京都在住のスーパーライター。
この日と次の日、この本を巡って起きた事を、こんな風にお伝えした。
勢い余り過ぎてはち切れそうですが、
これ以上の文が書けそうにないのでそのまま掲載させて頂くことに。

姜さんへ

素晴らしい仕上がりに、ただただ、感涙。
身がよじれるくらい、感動いたしました。

なんですか!この本!中華!

発売日の昨日、肥後橋のcaloさんに
「ピンポイントで本買いに来ました。」
と伺うと、店主の石川さんが、
「あ、”京都の中華”ですか?」
と、まさかの、的中。エスパーか!?
とつっこみ入れてしまいたくなる鋭さ。
本を手に取るまでにすでに濃密な時間がありました。

そして「でもね、うちにはまだ置いてないですよ。」と。
さすが、caloさん。
「柳々堂さんならあるんじゃないかなぁ。」と。
でも、もうエスパーの元で手にしたい気満々のわたしは
その場で予約をして帰りました。
そしてさすが目の前エルマガ社だけあって、2時間後には入荷。
本日、タッキー付きで受け取りに行きました。

そしてひとしきり、石川さんと大絶賛の嵐でした。
題字いい!
写真いい!
デザインいい!
そして何より、文章がいい!
と。
身も心もよじよじしてしまいましたよ!!!!

その横でタッキーは、ブラッドオレンジジュースをだだこぼし
しておりました。

根性の取材。編集。研究。お疲れさまでございました。
すみからすみまで拝読いたします。

ますますの勇気をくださり、ありがとうございました。

あまりの感動をみんなに知らせたく、近々blogに書かせて
ください。caloさんで撮影してきました。

ずっと変わらない、姜さんの愛あふれる一文字一文字に、
ただただ感涙です。

平野愛

■『京都の中華』『あんこの本』/ともに京阪神エルマガジン社
■caloさん/Calo Bookshop & Cafe(大阪市西区江戸堀)
■石川さん/caloのオーナー石川あき子さん。
■柳々堂さん/建築図書専門店 柳々堂(大阪市西区京町堀)
■タッキー/息子。生後2ケ月の時に姜さんが付けて下さった愛称。
■ブラッドオレンジジュース/caloさんのカフェメニューの1つ。450円。

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